「サウナ」をアメリカ英語ではどう言う?

スウェーデンのストックホルムを旅行していた時、地元のボランティアが英語でガイドをしてくれて、街中の名所を見て回るウォーキング・ツアーに参加しました。2、3時間、一緒に行動していたので、そこに参加していた他のオーストラリア人、インド人、スイス人の3人とそれぞれ仲良くなり、ウォーキング・ツアーが終わってからランチを食べようと一緒に行動することになりました。

その時、色々な話をしたのですが、冬が暗くて長い北欧ではサウナが欠かせないという話題になりました。

英語でも、サウナは「sauna」と言いますが、アメリカで「au」の部分の発音は、下顎を大きく下げて「オー」と発音します。

発音記号で書くとこうなります: sɔ́ːnə


「ɔ́ː」の部分が、下顎を大きく下げて「オー」という発音です。


日本人だと、「au」と書かれているので「sauna」は「サウナ」と読みたくなると思います。ですが、アメリカ英語では「ソーナ」という発音をします。

当然、アメリカ生活が長い私は、「ソーナ」と発音したのですが、オーストラリア人、インド人、(ドイツ語圏)スイス人には通じません。「サウナ」と言い直すと、3人とも納得して、「あー、サウナね」とすぐに理解してくれたのですが、こちらに言い諭すように「サウナ」と強調して言い直したこの3人には、「日本人だから変な発音するな」と思われたと思います。

アメリカ英語を詳しく知らない人に、アメリカ式の発音をすると通じないどころか、こっちが日本人なのでこちらの間違いだと決めつけられてちょっと嫌な気分になります。

ポルトガルを旅行した時も、レストランのポルトガル人シェフの英語がめちゃくちゃなレベルで、向こうが言っていることもわからなければ、こっちがゆっくり話しているのに理解してくれないということがありました。

その時はアメリカ人の知人と一緒に旅行していたのですが、そのアメリカ人もこのポルトガル人シェフの英語が理解できず、値段が15ユーロ(フィフティーン)なのか50ユーロ(フィフティ)なのかわからず混乱していました。

それなのにそのシェフは自分では英語がうまく話せるとすごい自信なのです。しかも見た目でこっちが日本人(アジア人)なので、自分より英語が下手のはずだというものすごい上から目線で圧が強いのです。

アメリカ人が相手だと、こちらが一度話せばネイティブ並みに英語が通じるとわかってもらえるので、私の場合だとアメリカ生まれのアジア系アメリカ人だと誤解されることが多いのですが、ヨーロッパなどに行くと、見た目がアジア人というだけで英語が下手という先入観を持たれて困ることがあります。


* * *


ストックホルムで出会った3人のおかげで、ドイツ語圏のヨーロッパやインド、オーストラリアでは、「sauna」は日本と同じように「サウナ」と発音することを知れたのは収穫でしょうか。このように、世界ではアメリカ式の発音の方がマイノリティーという場合は結構あります。

イギリス式の発音の方がマイノリティというのもあります。例えば、イギリス人は、ドンキホーテ(Don Quixote)のことを「ドン・クイクソット」と言います。これはイギリス以外では誰も理解できない発音ではないでしょうか。


【結論】アメリカ人と話すときは、「ソーナ」、それ以外の人たちと英語で話すときは「サウナ」と使い分ける必要があるかもしれません。英語を話すということは、日本語にはない面倒な気遣いが必要です。


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