「え、そうだったの?」と目からウロコが落ちることを”pop the bubble”と言います:吉本興業の経営陣の闇っぷりや相撲のやらせ問題で思うこと

お笑い芸人の宮迫さんとロンドンブーツの田村亮さんが、生放送で緊急記者会見をしたことが大きなニュースになっていますね。二人の会見の中で、所属していた吉本興業の岡本社長から、脅しとも取れることを言われ、翌日までという限られた時間で契約解除か引退かの二者択一を強要されそうになっていたことを暴露しました。

また、「在京在阪のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫や」という吉本側の言葉も暴露し、メディアそのものが吉本の株主という利害関係がある立場だから(忖度して)報道を控えてくれたり都合が悪い部分は握りつぶしてくれる −− そうとしか取れないことも証言しました。


二人の会見が準備されすぎているとか、仕込まれていると批判する意見もありますが、多くの人たちは二人が正直に真実を語ろうとしていると感じたと思います。また、これを見ていて、吉本興業がいかにブラック企業かということも伝わってきました。

これまで吉本の芸人が、「吉本はギャラが安い」とか、「紙の契約書がないからギャラがどれだけ会社に取られているかわからない」ということを笑いのネタにしながらテレビで発言するのは数多く聞いたことがあります。サンマさんも言っていたし、ダウンタウンの松っちゃんもネタにしていました。

しかし、今回の一件で、それが笑えない事実というのが明らかになってしまいました。

このサイトは英語のことを語るブログなので、こういう場合のことを英語で言うと、"Pop the bubble"と言います。「bubble(バブル)」は日本語でも馴染み深い「泡」という意味で、「pop」は「(針などで刺して)破裂させる」という意味になります。つまり、「泡を破裂させる」という比喩表現になります。

「バブル経済が破裂する」ことも、"the bubble economy has popped (or bursted)"と言います。



英語の辞書には、"Pop the bubble"「泡を破裂させる」という慣用表現の意味を次のように説明しています:

pop the bubble of (someone) To disprove, ruin, or destroy someone's fantasy, delusion, or misbelief. A less common variant of "burst the bubble of (someone)."
(訳)人が抱いている幻想、 思い込み、間違って信じていることを、それが間違っていると証明したり、台無しにしたり、壊すこと。"burst the bubble"と言うこともできる。

つまり、吉本のギャラが安いとかブラック企業であることをうかがわせる発言は、笑いを取るためのネタであると視聴者やファンは笑っていた、その状態がバブル(泡)が膨れ上がっている状態を指します。土地の価格が値上がりしてバブル経済が膨れ上がるのと同じイメージです。

その「現実が覆い隠されて幻想に浸っている状態」が、何らかのきっかけではじけて壊れてしまった。今回の記者会見は、まさに「笑えるネタだと思っていた」という視聴者の幻想を壊した事件だったと思います。吉本興業の実態がバレて、笑えるネタだと思い込んでいたものが実は間違いだったことに多くの人が気が付いてしまった、と言えるのではないでしょうか。


* * *


今週、偶然にも、私がアメリカ人の友人の「幻想」を壊してしまいました。相撲の大ファンであるアメリカ人の友人と一緒に、アメリカの自宅のテレビで名古屋場所を見ていた時にそれは起きました。

(アメリカ国内でも、NHK Worldという英語版の放送を無料で視聴することができ、相撲の取り組みのハイライトが英語で放送されています。アメリカ国内の地上波や、ケーブルテレビの国際放送局−−様々な国の番組を放送しているチャンネル−−で放送されているほか、アプリやインターネットでアメリカ国内でも無料で視聴できます。NHKは日本国内の視聴者から受信料を強制徴収していますが、海外では無料で放送・配信されています。)

相撲の大ファンであるこのアメリカ人は、毎場所、テレビで欠かさず見ているそうです。日本にも旅行に行って相撲観戦をしたことがあると話していました。

ですが、このアメリカ人の知人は、過去の相撲協会の問題や八百長問題については知りませんでした。

そこで私が色々と過去の問題を英語で説明しました。しかも、名門シカゴ大学の教授で、日本語にも翻訳されているベストセラー「ヤバい経済学」の著者でもある経済学者が、これまでの相撲の対戦データを統計分析し、八百長が行われていたことを統計学的にも証明していることを紹介しました。

モンゴル出身の力士が「談合」して、勝敗を事前に打ち合わせしている疑惑が報じられていることなどを説明していたとき、まさに私たちの目の前で、モンゴル出身力士の玉鷲(たまわし)が、今場所調子の良かった高安をまた怪我をさせたのです

これがその時のシーン。明らかに肘を逆にひねって怪我をさせているように見えます。


(写真:共同)

これにより今場所、唯一の大関であった高安は靭帯損傷で休場することになりました。それにより、後日行われるはずだった横綱、白鵬(モンゴル出身)との取り組みは彼の不戦勝になりました。

玉鷲(たまわし)が対戦相手をよく怪我をさせることは、以前から他の人たちも指摘しています。

三力士を次々と負傷休場させた玉鷲に、相撲協会はなぜ警告しないのか!?

大相撲の玉鷲の相手が、次々と怪我をする。

おそらく、先述の経済学教授が、玉鷲(たまわし)の取り組み履歴を統計学的に分析すれば、怪我をさせた相手は、圧倒的に非モンゴル人力士が多く、逆に他のモンゴル出身の力士には怪我をさせていないことを証明できるでしょう。

さらに、玉鷲(たまわし)が高安を怪我させた日、同じモンゴル出身力士同士の白鵬と逸ノ城(いちのじょう)が対戦したのですが、立ち上がりに相手をビンタすることで知られる白鵬がそうせず、逸ノ城(いちのじょう)にあっさり寄り切られる負け相撲をしました。この日まで名古屋場所で連勝を続けていた白鵬の初黒星でした。

この取り組みを一緒に見ていたこのアメリカ人の友人も、唖然としてしまいました。まさに、彼の幻想(バブル)が音を立ててはじけてしまった瞬間でした。

そして今日、横綱の白鵬が平幕の琴奨菊に負けて2敗となり、また同じモンゴル出身の横綱である鶴竜が単独首位となり、名古屋場所の優勝候補です。これでは、モンゴル力士の間で今場所は鶴竜を優勝させてやる、という談合が行われているのではないかと疑われても仕方がない展開です。

毎回、真剣勝負している力士がほとんどだとは思いますが、中にはいまだに談合して八百長をしている力士もいる、という疑惑がこのアメリカ人の友人にも芽生えたようです。


そういえば、「やらなきゃ意味ないよ」とアメフト選手を脅して相手を怪我させた日大アメフト部監督もいました。玉鷲(たまわし)も、「やらなきゃ意味ないよ」と誰かに言われているのでしょうか。


吉本興行やその株主のテレビ局、八百長する力士とそれを黙認する相撲協会、、、、、

この世の中に壊されなければいけないバブルがたくさんあります。

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