頭が悪い人の英語の話しかた【その2】 ネイティブでも間違えるLiterallyとfigurativelyの違い
アメリカのテレビ局がとあるテーマパークで人気のアトラクションを取材中、客の一人にインタビューしたところ、この女性は"I was literally dying . . ."と言い、つまり「死ぬほど怖かった」と興奮気味にこたえていた。
しかし彼女のコメントを聞いて「え?」と驚いたアメリカ人視聴者は多かったはずだ。というのも、彼女は「文字通り死にそうだった」、つまり「(冗談でなく)本当に死にそうだった」とコメントしたのだから。本人はそういう意味で言ったとは思っていなかったのだろうけど。
英語のネイティブ・スピーカーでも、その意味をよく考えずに"Literally(文字通り)"を「まるで〜のように(figuratively)」や、単なる強調の「本当に(actually)」の意味で使う人が多い。しかもliterallyは日常的に使われるポピュラーな言葉だからいっそうたちが悪い。
アメリカの映画やドラマで使われているからとか、ホームステイ先でネイティブの家族が使っているからという理由で日本人が下手に真似をすると、いずれ自分が恥をかくことになる。
かつてのアメリカ副大統領ジョー・バイデン氏ですら、選挙演説中にこのliterallyを(文字通り)9回も誤用してしまい、ワシントンポスト紙の記事にまで書かれて恥をかいたのだから。
例えば、バイデン氏はこのように演説している。
副大統領ともあろうお方が、literallyの意味もまともに理解せずに9回も間違って演説の中で使ってしまったとあっては、新聞記者もさすがに見逃すわけにはいかなかったのだろう。(実はオバマ元大統領も同じようにliterallyを間違って使っている。)日本でも正しく漢字が読めない閣僚や政治家がいたけれど、似たようなニュースがアメリカの政治家にもあるというのは、ある意味、親近感が湧くエピソード。
もし、会話中で間違ってliterallyを使ってしまった場合、話し相手がこのワシントンポスト紙の記者のように知的な人であれば、"You mean figuratively?(「比喩的に」の間違いじゃない?)"とか、"Literally?(そのliterallyの使い方合ってる?)"と質問されたり訂正される可能性が高い。実際私も「literallyを誤用するアメリカ人があまりに多い」と嘆くアメリカ人を少なくとも4人は見かけたことがある。
アメリカのテレビや映画の中でLiterallyの単語が間違った使い方をされていないか、ゲーム感覚で探してみるのも楽しいかもしれない。意外と多く間違って使われていることに気がつくはずだ。
特におすすめなのは、2015年までNBCテレビで放送されていたコメディー・ドラマ『Parks and Recreation』。特に注目して見て欲しいのがRob Lowe演じるChris Traegerという役だ。とにかく"literally"を口癖のように使うキャラクターで、しかも間違った使い方をする。もしかすると、アメリカ人がliterallyを間違って使っているのは、この番組が影響しているのかもしれない。
このキャラクターがあまりにも文法的に間違ったliterallyの使い方をするので、ボストン・グローブ紙は一面記事にしたほどだ。これがその見出し。
(画像:The Boston Globe)
日本語に訳すと、
この記事の中でイギリス人もアメリカ人と同じようにliterallyを誤用するとあるので、この傾向は英語圏全てに広がっているようだ。
ライターで元タイム誌編集者のJames Geary氏は、「私の子供達も間違った(literallyの)使い方をいつもしている」と英新聞ガーディアンに語っている。「’文字通り’何百万人もの人々が、『文字通り』怖すぎで私死んだわ、というような言い方をしている。もちろん、彼らは比喩的に、という意味で使っているのだけれど」と彼は説明している。
このボストン・グローブの記事は、「誤用された意味が、いずれ本来の意味を駆逐して主流になる可能性は十分ある」とも予言している。
しかし英語の辞書で正式に認められるまでは、literallyは本来の文字通りの意味で使うようにしよう。
頭が悪い人の英語の話しかた【その1】はこちら。
しかし彼女のコメントを聞いて「え?」と驚いたアメリカ人視聴者は多かったはずだ。というのも、彼女は「文字通り死にそうだった」、つまり「(冗談でなく)本当に死にそうだった」とコメントしたのだから。本人はそういう意味で言ったとは思っていなかったのだろうけど。
英語のネイティブ・スピーカーでも、その意味をよく考えずに"Literally(文字通り)"を「まるで〜のように(figuratively)」や、単なる強調の「本当に(actually)」の意味で使う人が多い。しかもliterallyは日常的に使われるポピュラーな言葉だからいっそうたちが悪い。
アメリカの映画やドラマで使われているからとか、ホームステイ先でネイティブの家族が使っているからという理由で日本人が下手に真似をすると、いずれ自分が恥をかくことになる。
かつてのアメリカ副大統領ジョー・バイデン氏ですら、選挙演説中にこのliterallyを(文字通り)9回も誤用してしまい、ワシントンポスト紙の記事にまで書かれて恥をかいたのだから。
例えば、バイデン氏はこのように演説している。
The American people who literally stood on the brink of a new depression日本語に翻訳されて聞くと違和感を感じないかもしれないが、英語では「文字通り」理解するので、この演説は、「アメリカ国民が文字通り新たな不況(という目に見える物体)の一歩手前に実際に立っていた」という意味になる。変ですよね?
アメリカ国民は文字通り新たな不況の一歩手前に立たされていた
副大統領ともあろうお方が、literallyの意味もまともに理解せずに9回も間違って演説の中で使ってしまったとあっては、新聞記者もさすがに見逃すわけにはいかなかったのだろう。(実はオバマ元大統領も同じようにliterallyを間違って使っている。)日本でも正しく漢字が読めない閣僚や政治家がいたけれど、似たようなニュースがアメリカの政治家にもあるというのは、ある意味、親近感が湧くエピソード。
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もし、会話中で間違ってliterallyを使ってしまった場合、話し相手がこのワシントンポスト紙の記者のように知的な人であれば、"You mean figuratively?(「比喩的に」の間違いじゃない?)"とか、"Literally?(そのliterallyの使い方合ってる?)"と質問されたり訂正される可能性が高い。実際私も「literallyを誤用するアメリカ人があまりに多い」と嘆くアメリカ人を少なくとも4人は見かけたことがある。
アメリカのテレビや映画の中でLiterallyの単語が間違った使い方をされていないか、ゲーム感覚で探してみるのも楽しいかもしれない。意外と多く間違って使われていることに気がつくはずだ。
特におすすめなのは、2015年までNBCテレビで放送されていたコメディー・ドラマ『Parks and Recreation』。特に注目して見て欲しいのがRob Lowe演じるChris Traegerという役だ。とにかく"literally"を口癖のように使うキャラクターで、しかも間違った使い方をする。もしかすると、アメリカ人がliterallyを間違って使っているのは、この番組が影響しているのかもしれない。
このキャラクターがあまりにも文法的に間違ったliterallyの使い方をするので、ボストン・グローブ紙は一面記事にしたほどだ。これがその見出し。
(画像:The Boston Globe)
日本語に訳すと、
文字通り最も誤用された言葉
この副詞は人々の話し言葉を混乱したものにし、文字通りの意味を失う危機にまで直面させている
これを止めてください。
文字通り。
ライターで元タイム誌編集者のJames Geary氏は、「私の子供達も間違った(literallyの)使い方をいつもしている」と英新聞ガーディアンに語っている。「’文字通り’何百万人もの人々が、『文字通り』怖すぎで私死んだわ、というような言い方をしている。もちろん、彼らは比喩的に、という意味で使っているのだけれど」と彼は説明している。
このボストン・グローブの記事は、「誤用された意味が、いずれ本来の意味を駆逐して主流になる可能性は十分ある」とも予言している。
しかし英語の辞書で正式に認められるまでは、literallyは本来の文字通りの意味で使うようにしよう。
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頭が悪い人の英語の話しかた【その1】はこちら。
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