英語では日本の「ミカン」を「オレンジ(orange)」とは言わない!

さて、日本の「ミカン」を英語では何という?「オレンジ(orange)」と思った人、「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」とカツを入れておきましょう。



ミカンジュースとして有名な「ポンジュース」。そのパッケージを見てみると、足元の表示に英語で"ORANGE MIKAN JUICE" とあります。「オレンジ・ミカン・ジュース」?


(画像:えひめ飲料より)

原材料を見てみると、「果実(オレンジ、うんしゅうみかん)、香料」とあります。オレンジとミカンの両方を原材料にしているため、パッケージにも英語で"Orange Mikan Juice"と表示されているようです。ただし、「ミカン」は英語で"Mikan"と書いても通じません。もちろん、ミカンのことを英語ではオレンジ(orange)とは絶対に言いません

オレンジ(orange)は、こういう皮が厚い柑橘類をさします。手でむきにくいやつです。サンキスト・オレンジとか、輸入される濃縮ジュースの原料がオレンジというイメージがあります。


一方、和歌山や愛媛、静岡など国内で生産されていて、お正月にこたつに入って食べるのが日本のミカンで、いわゆる「温州みかん」と言われるもの。ポンジュースの原材料にもなっています。小ぶりで手でむいて食べることができます。

実はアメリカでも日本の「ミカン」が広く売られています。もしアメリカ人に日本の「ミカン」と言いたければ、mandarin orange(マンダリン・オレンジ)と言うのが最も通じるでしょう。

日本語でも「温州」と言うだけあり、元は中国から伝わった果物なので、英語でも「マンダリン」つまり「中国(北京)」と呼ばれているようです。ちなみに、標準中国語(北京語)のことも、英語ではMandarin Chinese(北京官話)と言います。(このサイトでは、マンダリン・ミカンのルーツはインドと中国とあります。)

しかし、英語にはMandarin(マンダリン)の他にも、Tangerine(タンジェリン)やClementine(クレメンタイン)と言う呼び方もあります。スーパーマーケットなどに行くと、日本のミカンに似た小ぶりのものが「タンジェリン」や「クレメンタイン」と表示されていることがあります。最近では、「Satsuma(サツマ)」と呼ばれるものもスーパーに並んでいるようです。

このサイトこのサイトでは、以下のように分類分けしています:



  • Mandarin(マンダリン)− オレンジの一種で、頭とお尻部分が両方とも平べったい種類。タンジェリンとクレメンタイン、サツマも含む。マンダリンには種がある。
  • Tangerine(タンジェリン)− マンダリンよりオレンジ色が濃く、マンダリンよりも大きい。アメリカには、モロッコのタンジール(Tangier)から伝わったため、こう呼ばれる。マンダリンの種類の中で最もポピュラー。種がある。
  • Clementine(クレメンタイン)− マンダリンの種類の中で最も小さいもの。種がない。
  • Satsuma(サツマ)− 日本原産。マンダリンの一種。アメリカ国内で販売されているSatsumaには12種類近い亜種がある



特に、マンダリンとタンジェリンは、アメリカ人の間では同じ意味で使われているとも。正確には、タンジェリンはマンダリンの一種で、しかもモロッコから伝わったものを指すので、日本のミカンと言いたい場合は、タンジェリンと言うのは間違いでしょう。

日本原産のサツマも、アメリカで認知されつつあるようですが、おそらくSatsuma Orangeと言っても、普通のアメリカ人には通じないと思います。

結論:

種無しで小ぶりのミカンであればClementine(クレメンタイン)、普通にミカンと言いたい場合は、Mandarin(マンダリン)と言うのがいいでしょう。

* * *

これを書いた後、クリスマスのプレゼントを入れる靴下に、ミカンを入れる風習があることを思い出しました。その起源について調べてみようとしたところ、靴下に入れるのは通常Clementine(クレメンタイン)だと説明するサイトを見つけたのですが、それ以外の多くのサイトで、「ミカン」のことを「オレンジ(orange)」と書いているのです。

ミカンのことを英語ではオレンジ(orange)とは絶対に言いません」と書いてしまいましたが、ミカンのことをオレンジと呼ぶ人たちがたくさんいるようです。アメリカ人の中にも、オレンジとミカンの違いがわからずぼーっと生きている人が多いのかもしれません。

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