英語で「だいたいの数字」を意味する「野球場」とは? #ballpark, #出川イングリッシュ

テレビ番組「イッテQ」の不定期コーナー「初めてのおつかい」がすごい。芸人の出川哲朗が海外で道行く人たちに英語で質問して、目的の場所まで行くというチャレンジに挑戦するのだけれど、「出川イングリッシュ」と言われる間違いだらけの英語の破壊力が笑いを誘う。しかも支離滅裂なジャパン・イングリッシュでも通じてしまうことがある。



出川哲郎に「野球場まで行くこと」と課題を出すと、おそらく「出川イングリッシュ」でも野球は「ベースボール」、野球場は「スタジアム」と言うことくらいは知っているだろう。その二つをつなげて、野球場は「ベースボール・スタジアム」。これは正解。

日本語で「スタジアム」と言うと、発音が英語とは違うので通じにくいかもしれないが、ここで野球の素振りやピッチングのパントマイムをすれば、アメリカ人にはすぐに通じるはずだ。

ちなみに、「スタジアム」は「ステイディアム[stéidiəm]」と発音する。

しかし「出川イングリッシュ」では知らないであろう「野球場」の別の言い方が英語にはある。「そんなの聞いたことねぇ〜よ」と出川に言われそうだが、「ベースボール・スタジアム」よりも言いやすい「ボールパーク(ballpark)」という言い方もあるのだ。

読んで字のごとく、「ボール(球)」の「パーク(公園)」で野球場。球技にはサッカーやラグビー、アメフトなどたくさんあるが、アメリカでは「ボールパーク」と言えば野球場なのだ。しかもボールとパークをつなげて一つの単語(ballpark)になっている。

そして、この野球場(ballpark)は、「だいたいの数字」という比喩としてもよく使われる。

例えば、高そうな車やバッグを買った人が、それがいくらしたのか具体的な金額は言いたくないというとき、

In the ballpark?(野球場の中では?)

と聞けば、「だいたいの数字で言うと?」と質問していることになる。

* * *

ここからは想像になるのだが、全米に野球場はたくさんあり、そのどれも「だいたい似通った大きさ」で誰でもその広さを想像することができる。何エーカーと具体的な広さを数字で言えなくても、「だいたい野球場くらいの広さ」と言えば、誰にでも通じる。おそらく、その比喩から、「具体的な数字を言わなくてもだいたいわかる」ことを「野球場(ballpark)」と言うようになったのではないだろうか。

野球は北米で生まれたスポーツで、他のイギリスやオーストラリアなどの英語圏ではほとんど行われていないため、おそらくこの英語の表現はアメリカやカナダでしか通じないのではないだろうか。しかしアメリカ人はこの表現をよく使う。

ビジネスのシーンでも、企業の評価格や買収金額を具体的には言えない場合、In the ballpark?と聞けば、何かヒントになることを言ってくれるはずだ。

その他にも、

a ballpark figure(おおざっぱな数字=概算)
a ballpark estimate(おおざっぱな見積もり)

という言い方もあるし、名詞や形容詞としてだけではなく、動詞としても使える。

Could you ballpark me a figure?(数字について概算を言ってくれますか?)
Could you ballpark the cost?(コストについて概算を言ってくれますか?)

もっと直接的に、

Give me a ballpark.

と聞けば、「だいたいの数字を教えてください」となる。

これを聞いて、出川だったら「野球場をください」と言っていると誤解しそう。皆さんはそんな出川イングリッシュのような間違いはしませんように!

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