アメリカ人とカナダ人の話す英語の決定的な違いはこれ
日本語にも色々な方言があるように、英語にも地域や階級によって色々な「方言」がある。本国の英国の中でも、ロンドンからスコットランドや北アイルランドの「方言」があり、オーストラリアやニュージーランドで話されている英語も個性的だ。それらに比べて、カナダで話される英語はアメリカ英語とほとんど違いがなく、アメリカ人ですらカナダ人と気がつかずに(アメリカ人と思って)相手とずっと会話しているということがある。
海外留学を計画している日本人の間でも、アメリカ英語(北米英語)が学べて、なおかつアメリカより犯罪率が低い安全な国というイメージからカナダを留学先に選ぶ人がいる。
カナダの人口は3700万人(2018年)と、アメリカの3億2700万人(2018年)の10分の1強。カリフォルニア州の人口が3956万人(2018年)なので、カナダ人はカリフォルニア州民よりも人口が少ない事になる。その人口の少なさから、アメリカのように、ボストン訛り、ブルックリン訛り、シカゴ訛り、というような有名な方言はほとんど見当たらない。
強いて言えば、カナダでは東海岸のニューファウンドランドとラブラドールで、アイルランド系の労働者階級が話す英語に近い「方言」が話されていたり、フランス語圏のケベックで話される英語が特徴的であると言われている。しかしこれら地域をのぞいて、あの広い国土のどの地域でもかなり均質的な英語が話されている。
しかし、カナダ人と話をして、ものの数分でその人がカナダ人だとわかる訛りというのがある。それは"about"の発音の仕方だ。
日本の学校でも、"about"の発音は「アバウト」と習うだろう。この単語はすでに日本語にもなっていて、「アバウトな人」というように「適当」という意味で使われている。
カナダ人は、この単語を「アバウト」とは発音しない。
人によって、訛りの強弱はあるのだが、カナダ人は「ア・ボウト」と発音する。これがアメリカ人の耳には、「a boat(一隻の船)」と同じ発音に聞こえる。そのため、アメリカ人がカナダ人をからかうとき、"There are too many boats(船がたくさんありすぎる、つまり「ア・ボウト」と頻繁に言い過ぎで耳障りだ)"と言ったりする。
「about(アバウト)」に似た発音の「out(アウト)」も、カナダ人の発音は特徴的で、「オウト」の発音に近い。この二つの単語をつなげた"out and about"(外出する)という表現があるのだが、これを言うカナダ人の発音はとても特徴的でアメリカ人の発音とは全然違う。
アメリカ人は、このカナダ人の発音をどこかダサいと思っているところがあるため、からかう人もいるが、その一方でcute(カワイイ)と思う人もいる。さて、あなたの耳にはどう聞こえるだろうか?
このYouTube動画で、男性がアメリカ英語とカナダ英語の発音の違いを説明している。まず「Z」の発音が、アメリカ人は「ジー」なのに対して、カナダ人は「ゼット」と発音すると説明している。さて、この動画の開始から14秒で、すでにこの男性がアメリカ人かカナダ人か、その訛りでバレバレだ。
動画開始14秒目で、すでにこの男性は「アボウト」とカナダ人丸出しの発音をしてしまっている。これがまさに、カナダ人だとバレる瞬間。別にカナダ人たちは、それを恥ずかしいとは思っていないからそもそも隠すつもりはないのだろうけど、アメリカ人からすると、「あ、あなたカナダ人なんですね」と気づく瞬間ではある。
この男性は、この後、動画開始から3分経ったところで、aboutの発音の説明をしてくれている。
彼のabout(アボウト)の発音は、カナダ人としては訛りが軽い方だ。しかし、この男性は、動画の最後に「私は世界中を旅したけれど、私のことをアメリカ人だと思うアメリカ人にも会ったし、私がアメリカ人だと思って話していたらカナダ人だったというケースもある」と、アメリカ英語とカナダ英語は近いことを強調している。
「かなり良い耳を持った人じゃないと違いを聞き取れない」とも語っているが、しかし、彼の"about"(アボウト)の発音は、私の耳にはカナダ人であることがバレバレだ。もしかすると、カナダ人は自分たちの訛りに気がついていないのかもしれない。(日本の田舎者が都会に出てきて、方言を隠しているつもりが、実はバレバレであるかのように。)
そして次のこの動画では、カナダ人とアメリカ人の女性が、それぞれどのように発音するか(中にはアメリカとカナダで全く違う単語を使う)ことを紹介している。
これら動画を見て、それでもカナダ英語とアメリカ英語は同じと言える人はいるだろうか?「アメリカ英語を学びたいからカナダに行く」、とは言えなくなってしまったのではないだろうか。
口語だけでなく、書く文語の英語も、アメリカとカナダでは使う単語や言い回しが異なる場合がある。カナダに留学に行くなら、あくまでアメリカ英語とは違うカナダ英語を学びに行くという心づもりで行った方が良いだろう。
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