アメリカで「コンブチャ(Kombucha)」は日本の「こんぶ茶」ではありません


アメリカのスーパーマーケットに行くと、色々なブランドの「こんぶ茶」が"Kombucha"として売られています。アメリカに住み始めたうん十年前は見かけなかった光景ですが、ここ10年くらいで一気に陳列棚を占拠するようになった印象です。

ですが、アメリカのスーパーマーケットで見かけるようになった当初は、てっきり日本の「昆布茶」がアメリカでもビン入りになって売られ始めたのかと思っていました。確かに、昆布茶はカフェインも入っていないし、ベジタリアンにも問題なく飲めるし、美味しいし、健康志向が高まっているアメリカ人の間で人気がでそう。

アメリカの"Kombucha"は日本の「昆布茶」のことだと4、5年間は誤解していたかもしれません。

まず、ビン入りの"Kombucha"をわざわざ買って飲んだことがなかったので、味を確かめる機会がなかったことが誤解し続けた理由の一つ。それに昆布茶にしては値段が高い!1本、5〜9ドル(約600円〜1000円)するのはザラです。日本人の感覚で、昆布茶1本に600円〜1000円はありえないですよね。

ですが、ついにアメリカ人の友人が"Kombucha"を飲んでいるのを見て、中に何やら浮遊物が浮かんでいるのに気がつきました。色も、昆布茶のようなグリーンではなく茶色。ビン入りだし酸化して色が変わってると誤解していたのですが、アメリカの"Kombucha"は、日本で言うことろの「紅茶キノコ」だとようやくわかったときはなんだか騙された気分でした。

英語版のWikiPediaに"Kombucha"の説明はこのように説明されています(訳は筆者):

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歴史:

"Kombucha"の明確な起源は不明。おそらく満州が起源である可能性が高い。200年前が起源という説もあれば、2000年前という起源説もある。少なくとも1900年頃から東ロシアで飲まれていたという報告がある。そこからヨーロッパに伝わった。アメリカで広く消費されるようになったのは21世紀に入ってから。アルコール含有量が0.5%未満であるため、連邦政府の規制対象ではない。しかし2015年以前は、"Kombucha"商品の中には0.5%の含有率を超えるものがあり、新たな検査法の必要性が叫ばれた。"Kombucha"はビールやその他アルコール飲料の代替品としてレストランやパブで提供されたことで、21世紀初頭から先進国で人気が高まり売り上げが増えている。


語源

日本語で昆布茶("kelp tea")は、まさにパウダー状の昆布で作られる昆布のお茶を指す。これは世界で"Kombucha"として知られる発酵した紅茶とは全然別の物。

"Kombucha"の語源は不明だが、日本語のこんぶ茶から誤って使われたのではないかと推定される。英語を話す外国人が、日本語の「こんぶ茶」が発酵した「紅茶キノコ」を意味すると誤解したのではないかという仮説がたてられている。英語の辞書The Merriam-Webster Dictionaryには、英語の"Kombucha"は、日本語の「昆布茶」「こんぶ茶」からの誤用である可能性があると掲載されている。また別の英語の辞書The American Heritage Dictionaryによると、"Kombucha"は「おそらく、英語を話す人物が紅茶キノコが生成するゼラチン状のフィルムが昆布に似ているため、あえてもしくは混同して"Kombucha"と呼ぶようになった」と説明している。

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日本人も、英語を和製英語にしてしまって、元々の意味から違う意味として「誤用」や「活用」していますが、アメリカ人も日本人と負けず劣らず、日本語を誤用して英語として使っているのですね。日本人もアメリカ人も、どっちもどっちといった感じです。


(Photo courtesy of WikiPedia)

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