ニュースでよく使われる『ベッドを共にする奇妙な仲間』の意味とは?

最近、アメリカのテレビや新聞のニュースで頻繁に見聞きするのがstrange bedfellowsという表現だ。strange、bed、fellow(s)の3つの単語はどれも日本の中学、高校で習うレベル。単純に訳すと「奇妙なベッド仲間」となる。しかしこれら単語が連なってstrange bedfellowsとなると、最近の政治状況を説明するのによく使われる意味深な表現になる。

 例えば、日本でもニュースを賑わせているトランプ政権とロシアとの関係、いわゆるロシア・ゲート疑惑について、トランプとプーチンの関係を"strange bedfellows"と表現している記事が数多くある。雑誌Forbsの記事では、冒頭の文章がこれだ:

 「Vladimir Putin and Donald Trump will make for very strange bedfellows.(ウラジミール・プーチンとドナルド・トランプは、とても<奇妙なベッド仲間>になる。)」

 CNNのアナウンサー、アンダーソン・クーパーも先週放送された番組の中で、トランプが中東遊説中に行ったイランに対する警告メッセージについて、この表現を使って説明している:

 「. . . it seems of a regional alliance or relationship between the U.S., Saudi, and Israel that some might call rather strange bedfellows. (・・・アメリカ、サウジ、イスラエルの地域的な同盟関係は、<奇妙なベッド仲間>と呼べるものに見える)」

 つまり、これら2つの例では、長年、敵対的な関係にあるロシア(プーチン)とアメリカ(トランプ)が協力的な関係になったり、同じく長年敵対しているサウジアラビアとイスラエルが対イラン政策のために同盟関係になるようなことを、"strange bedfellows"いう表現でうまく伝えている。"strange bedfellows"は、こうした複雑な政治的関係を一言で表せる便利なフレーズなのだ。

 もともとbedfellowsは、文字通り「ベッドを共にする相手」と言う意味で15世紀から使われてきた古い言葉。そして最初にstrange bedfellowsという表現を考案したのはシェークスピアという説がある。

 現在、strange bedfellowsは、"Politics makes strange bedfellows"(政治は奇妙な仲間を作る)という典型表現でよく利用される通り、政治的な信念や価値観を共有しない(敵対した)相手と仲間になることを指す。政治的な目的のためなら価値観や信念の合わない相手とも臥し所(寝床)を共にする状態だ。日本語でいうと、「同床異夢」や「呉越同舟」の相手といったところだろうか。ただ、日本語との大きな違いは、strange bedfellowsがほぼ政治的な文脈でしか使われないことだ。

 アメリカ国内では、まさにstrange bedfellowsがニュースを賑わせる日々が続いている。奇妙な相手と臥し所を共にした後には、やはりそれなりの代償が待っているのだろうか?

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