【英語の比喩表現】「チーズを切ったの誰?」は何を意味する?

チーズはどこへ消えた?(Who Moved My Cheese?)」というベストセラー書籍がありましたが、この本が出版された時、「チーズを切ったの誰?(Who cut the cheese?)」という英語の表現を思い出して一人でほくそ笑んでいました。



アメリカ人のご主人と日本人の奥さんの自宅で開かれたパーティーに呼ばれた時、料理を準備しているキッチンでもこの表現に遭遇しました。日本人の奥さんがチーズを切り分けてオードブルを準備していた時、ご主人が冗談っぽく、「チーズを切ったの誰?(Who cut the cheese?)」とからかったのです。

私は思わず笑ってしまったのですが、日本人妻はこの表現を知らず、目が点になっていました。

"to cut the cheese"(チーズを切る)は、「オナラをする」の婉曲表現なのです。

確かに、臭いチーズは、あれの臭いと間違うほど強烈で、なぜこの表現が生まれたのか容易に想像できますよね。

家族で団欒している時、もし誰かオナラをしたら、Who cut the cheese?とすかさず追求されることでしょう。

エレベーターなどの公共の場所で、見知らぬ人たちが密集している場所で誰かがオナラをした場合は、なかなか恥ずかしくてWho cut the cheese?とは言いにくいですけど、心の中では誰しも思っているはずです。Who cut the cheese?と。


日本語も婉曲表現や比喩表現が豊かですが、「オナラをする」ことをこんな風に婉曲的に表現しないので、アメリカ人の方が奥ゆかしいのかも?と思ってしまいます。

また、英語には実に色々な面白い表現があります。以前、ご紹介した「ベルトの下に(隠し)持つ(under my belt)」というのもそんな比喩表現の一つです。


* * *


「チーズはどこへ消えた?(Who Moved My Cheese?)」の著者が、「オナラをする」の英語表現を意識してこのタイトルをつけたのかは不明ですが、すでにWho cut the cheese?という表現があるので、Who moved My Cheese?という書籍のタイトルが馴染みある響きになるのは必然でしょう。

「リンゴはどこへ消えた?」でも「ハンバーガーはどこへ消えた?」でもなく、それが「チーズ」だったというのは興味深いところです。


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