CA州バークレー市が性差を表す言葉の使用を禁止:"Manhole"、"Policemen"、"Chairmen"などの単語が使用禁止に


今週火曜、カリフォルニア州バークレー市議会は、「性差を表した言葉(gendered terms)」を市の法令で使用することを禁止する議案を可決したとCNNが報じました。過去の文書にもさかのぼって、そうした言葉を全て別のものに変更するそうです。



具体的には、"Manhole(マンホール)"、"Policemen(警察官)"、"Chairmen(議長)"といった言葉が禁止されます。次のような新しい言葉に置き換わるそうです。

"Manhole(マンホール)" → "maintenance hole(メンテナンス・ホール)"
"manpower(マンパワー)" → "human effort(ヒューマン・エフォート)"

日本でも「マンホール」や「マンパワー」などは普通に使っていますが、もしこのカリフォルニア州バークレー市議会が発信源の活動が日本にも波及すれば、日本でも「マンホール」や「マンパワー」を使うことが「ポリコレ違反」になってくる可能性もあるわけです。

この性差を表す言葉を一掃しようと議会に提案したのは、市議のライジェル・ロビンソン議員だそうです。彼の議案は、市議会で議論されることなく、また意見も出ずにスムーズに可決されたそうです。

CNNのインタビューに対して、ロビンソン議員は次のように答えています:

「言葉には力があります。これは小さな動きですが、重要なものです」。

バークレー市の公文書はこの議案の可決により全て変更されるそうで、性別を示す人称代名詞のHeやSheも、全て「They」に変更されるそうです。

単数形の人称代名詞のTheyについては、ちょうど先日、ここでも紹介していました:

イマドキの英語ではHeもSheも古い?単数形のTheyが登場


バークレー市の条例では、これまでほとんどが男性の人称代名詞(He)を使って書かれていたそうです。

ロビンソン市議は、市長と市議会に対して次の文書を送っています:

「男性中心の条例は不正確で、我々の現実を表していない。女性や、男性にも女性にも当てはまらない人たちも、当事者として表現に含まれる権利がある。我々の法律は全員のためのものであり、我々の地方政府条例はこの現実を反映するべきだ」。

ちなみに、このCNNの記事を報じた記者はSarah Moon(サラ・ムーン)という名前で、Moon(ムーン)は、現在の韓国のムン大統領と同じ名前。なぜか、韓国人は「ムン」という名前を英語表記にする時、「月」と同じ「Moon(ムーン)」にします。ということでこのCNN記者は韓国系アメリカ人女性ということがわかります。マイノリティーの民族がアメリカに移民する時、名前を「アメリカ化」することについて紹介した記事はこちら:

アメリカ人の名前に隠された秘密:アングロ化(anglicize)で出身民族を隠そうとする「アメリカ人」たち


* * *

一方、コロラド州立大学では、「America(アメリカ)」や「Americans(アメリカ人)」という単語が、「包括的ではない」という理由で、使うのを避けるべき用語であり別の言葉で代用するべき用語と指定されたことが今週報じられています。

同大学では、「Inclusive Language Guide(排他的ではない)包括的な言葉のガイド」を制定していて、使うべきではない言葉やフレーズとその代替案を示しています。これは、「大学のキャンパスにいる全ての人たちが受け入れられ、敬意を示してもらい、各自の価値が認められていると感じることができるため」というのが目的だそう。

そして、「America(アメリカ)」や「Americans(アメリカ人)」がこのリストに加えられた理由は、「アメリカは、アメリカ合衆国だけではなく他の国や人も構成するものだから」だそうです。

さらに、同大学のガイドは、「南アメリカ、中央アメリカ、メキシコ、カナダ、そしてカリブ諸国も(「アメリカ」に含まれる)42カ国の中の国や地域です。そのため、スペイン語で『アメリカーノ(americano)』という単語はアメリカ大陸に関するあらゆることを指すことができるのです」と記しているそうです。

しかし、スペイン語の「アメリカーノ(americano)」が英語より包括的というのは正しくありません。南米の人たちは、アメリカ人(アメリカ合衆国出身の人)のことを「アメリカーノ(americano)」と言います。「北米」を指す「Norteamericano」も使われていますし、「アメリカ合衆国(the United States)」を意味する「estadounidos」も使われています。コロラド州立大学が発表したようにスペイン語では「アメリカーノ(americano)」が常に南北アメリカ大陸の全てを意味しているわけではなく、同大学の発表は必ずしも正確ではありません。

コロラド州立大学では、カリフォルニア州バークレー市と同じように、以下のような性差を表す言葉も利用を避けるようガイドに示しています。

male
female
ladies and gentlemen
Mr./Mrs./Ms.
Straight

その他にこのような単語も避けるべきだそうです:


handicap parking (accessible parkingが適した表現だそう)

War
Eskimo
starving

このガイドは、あくまでキャンパスで誰もが気分を害することがないコミュニケーションを取るための「指南書」であって、強制するものではないとコロラド州立大学は発表しています。また、これは「ポリコレ」ではないと否定しています。


コロラド州立大学は、以前にもSNS上で、男性か女性かわかる絵文字を使うことを止めるよう注意を喚起していたことが報じられているそうです。


ここまできたら息苦しいですよね。アメリカ社会は、「リベラル」が行き過ぎてなんだか変な方向に進んでいる感じがします。

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