学校では教えてくれない"though(〜だけど)"の便利な使い方


こんなに便利でよく使われるのになぜ学校で教えないの?という英単語の一つが、「though(〜だけど)」だ。なぜか日本の学校では、接続詞としての"though"だけ教えて、便利な副詞としての使い方を教えてくれない。中学・高校生向けの英語の参考書にも、thoughは接続詞としてしか紹介されていない。これが全くもってなぜなのか不思議でならない。

例えば、このような例文を誰もが見たことあるだろう:

  • Though this cake is very sweet, I like it.(このケーキはとても甘いが、僕は好きだ。) 

前半の「このケーキはとても甘い」と、後半の「僕はそれが好きだ」を結びつける役割、すなわち接続詞としてのthoughの使い方だ。

しかし、アメリカ人との会話やメールを見ると、この接続詞としてthoughを使うのと同じくらい、もしくはそれ以上の頻度で副詞として使っている:
  • This cake is very sweet. I like it though! (このケーキはとても甘いね。僕は好きだけどね!)
  • That hamburger restaurant is great. It's a bit far though. (あのハンバーガー・レストランは超オススメ。ちょっと遠いけどね。)
このように、副詞としてのthoughは、相手にちょっとしたフォローや補足を入れたい時に使える便利な単語だ。まさにアメリカ人も意外と相手に気を使った言い方をしているのがわかる良い例だ。特に"I like it though!"というのは、何か否定的なことを言った後のフォローとしてよく使われる。
  • Maybe, your new haircut is a bit too short. I like it though!(君の新しいヘアスタイルはちょっと短すぎかもしれないね。僕は好きだけどね!)
こんなフォローが英語で言えるようになると、会話が一気にスムーズな流れに乗って相手との距離が短くなる。まさにネーティブの英語に一歩近づく使い方だ。逆に言うと、日本の学校で教える接続詞としてのthoughは「お堅く」聞こえる表現なのだ。

まさに先の例文のごとく、「このケーキはとても甘いが、僕は好きだ(Though this cake is very sweet, I like it. )」なんていうのは構文調で教科書的な響きだ。

一方、「このケーキとても甘いね。僕は好きだけどね!(This cake is very sweet. I like it though! )」と言うと何倍も自然に聞こえるし親しみすら湧く。

それなのになぜ日本の学校で副詞としてのthoughを教えないのか?

一つの理由には、この副詞としてのthoughの使い方がカジュアルな口語表現だからと言うのがあるだろう。読解問題で出題されるようなエッセーや記事ではまず出てこない。そしてもう一つの理由は、英語の文法問題にしにくいというのがあるからかもしれない。

こんな問題をテストで目にしたことは何度となくあるだろう。

問題 空欄に入る適切な語句を選びなさい:

____ I had a high fever yesterday, I went to school as usual.

A) Despite
B) Though
C) In spite of
D) But

日本の英語のテストは、この手の正しい接続詞を選ばせる問題が好きだ。確かに文章の意味とつながりを理解していないと正しい接続詞は選べないため、生徒の理解力を試すのには便利だ。しかし「何年習っても話せない英語」と言う、日本の英語教育が背負った汚名を返上するためにも、副詞のthoughくらいは日本の学校でも教えたらどうだろうか。

*もし自分の学校では副詞のthoughを習ったと言う方がいればコメントください!英会話重視のイマドキの小学校だと教えているかも?


【thoughの使用上の注意】

  1. テキスト・メッセージなどカジュアルな間柄同士だと、"though"を"tho"と省略することも多い(もちろん"tho"は正式なスペルではない)。
  2. 書き言葉でも使えるが、基本はカジュアルな話し言葉のため、ビジネス文書などでの利用には注意が必要。
  3. 副詞としてthoughをalthoughで置き換えることは不可。(I like it althoughと言うのは間違い。そもそも言いにくい!)






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