国際ロマンス詐欺が急増 ー 男の声はアフリカ人なまりの英語

国際ロマンス詐欺が急増というニュースが報道されている。今日のテレビ朝日の番組「サンデーステーション」では「"黒幕"を追え」と題して、40代以上の日本人女性をカモにする国際ロマンス詐欺の大物「トニー・ムーア(Tony Moore)」を追ってマレーシアまで取材に行っている。しかし番組で流れた詐欺師の声を聞いた瞬間、被害者女性が恋に落ちたという写真の白人男性「トニー」と、電話から聞こえる声の主が違う人物だということにすぐ気がついた。なぜなら声の主の英語には強いアフリカ人なまりがあったからだ。

この番組「サンデーステーション」で追跡したのはこんな日本人女性被害者だ:
福岡県在住の64歳の女性は外国人男性トニーに恋をしている。3年前の夏会社経営者・トニーからメッセージを受けやり取りをしてから1年以上経った後、事業を始めるための資金を貸して欲しいと言われ、これまで10回以上送金をし、気づいたときには1200万円ほど騙し取られていた。 
(引用元:https://tvtopic.goo.ne.jp/kansai/program/abc/7/611453/) 
この女性が1200万円という大金を払ったことにも驚きだが、こうした国際ロマンス詐欺自体が急増しており、被害額は200億円にも上るという。FBIも捜査しており、大きな世界的詐欺集団の関与が疑われているそうだ。

アマゾンでは、『被害額4500万円! 国際ロマンス詐欺の卑劣な手口 impress QuickBooks 』という警鐘を鳴らす書籍が出版されている。国際ロマンス詐欺撲滅協会(Japan)というフェースブック・ページも立ち上がっていて、被害者たちがこれ以上、被害を広げないために立ち上がっているようだ。

「サンデーステーション」の番組の中で出演していた弁護士が、ロマンス詐欺への対策として、

①知らない人からのメールやメッセージに警戒
②ネット上で個人情報を公開する場合は要警戒

と注意を促している。

そのほか、詐欺師たちはテンプレート化されたメッセージを送ってくることもあるので、メッセージを検索して他に被害者はいないか調べてみることや、他人の顔写真を使っていないか写真を検索してみることが有効だと言っている。

しかし私がこのニュースで詐欺師の自称「トニー・ムーア」の声を聞いた瞬間、被害者女性が信じていた写真の白人男性とは違う人物だとすぐにわかった。電話口から英語で語りかけてくる男性の声に、明らかにアフリカ人なまりがあったからだ。

国際ロマンス詐欺グループが日本人女性に目をつける理由は、資産を持っているということもあるが、アフリカ人なまりの英語を話しても疑われないということが大きいのだろう。

資産を持っている孤独な中高年女性は北米や西欧諸国など他の先進国にもいる。しかし英語圏の人や英語を聞き慣れた人には、詐欺師の声が医者やジャーナリストなど立派な職業についている白人男性のものではないことがその声を聞いた途端にバレてしまう。狡猾な詐欺師と言えども、身についた英語のなまりを隠すのは容易ではない。

実際、「サンデーステーション」の追跡取材で行き着いた「トニー・ムーア」はテレビ電話でその素顔を被害者女性にさらしている。その顔はもちろんアフリカ人だ。取材中に被害者宅まで現金を受け取りに来て逮捕された男性もアフリカ人男性だった。

画像:テレビ朝日「サンデーステーション」より


英語を学習する時に身につくスキルというのは、英語の単語や文法などの表面的な知識だけではない。世界各国で話されている英語には色々な方言やなまり、バリエーションがある。英語を母国語として話す人であれば、他の人が話す英語がどこの国や地域、民族で話されているものかだいたいわかるのだ。日本語だと、関西弁や東北弁など方言に耳がすぐ反応するのと同じだ。英語を学ぶことには、こうした地域的、階層的、民族的な英語の「方言」を知ることも含まれている。

アメリカ人であれば、その人が南部出身である場合、話し方を聞けばすぐに判別がつくし、大都会ニューヨークもそこで生まれ育った人にキツいなまりがあるので有名だ。もちろん、イギリス人とアメリカ人の違いは話し方を聞けばすぐにわかる。典型的なオーストラリア人の話し方は、一瞬イギリス人(特に東ロンドン地区の労働者階級)にも聞こえるため、しばらく聞いていないとわからないかもしれないが、それでも数分聞けばわかるほどその両者には違いがある。英語がネイティブでない人でも、英語が話せるようになればこの違いがわかるようになってくる。

国際ロマンス詐欺が日本人女性の間で増えている要因の一つは、日本人の英語力の低さにもあると考えさせられるニュースだ。

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