magazine(マガジン)には「雑誌」以外の意味もある

アメリカでは、先週末、テキサス州エルパソとオハイオ州デイトンでそれぞれ立て続けに無差別銃撃事件が起き全米が震撼しました。約1週間前にはカリフォルニア州ギルロイでも、地元のニンニク・フェスで無差別銃撃事件が起きていました。



一体、アメリカでは何が起きているのかと不安になります。カリフォルニア州とテキサス州のテロ事件は、ヒスパニック系移民に対するヘイトというのが犯行の動機ではないかということが、様々な証拠から濃厚のようです。一方、オハイオ州の事件では、亡くなった9名の犠牲者の中に犯人の実の妹がいたことから、単なるヘイト・クライムではないという見方が報じられています。

いずれにしても、犯人は19歳、21歳、24歳の若い白人男性であるという共通点があります。今年3月、ニュージーランドのクライストチャーチで起きたモスク襲撃事件も、28歳の白人男性の犯行でした。この他にも有名なコロンバイン高校の襲撃事件など、銃による無差別テロは、若い白人男性が犯人であることが多いと言わざるをえません。アメリカ社会は、銃規制だけではなく、この社会の闇と向き合って解決して行く必要があります。

犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。


* * *


さて英語についてですが、オハイオ州の事件を報じた地元記事の中に、「雑誌」以外の意味の「magazines」が使われていたのでご紹介します。


CBSニュースの記事は、犯人が使った武器の説明を以下のように報じています。


"Betts used an assault-style rifle, a .223 caliber weapon with high capacity magazines and wore body armor and a mask during the shooting, authorities said."

(翻訳)「犯人は、高容量の弾倉が装備された0.223口径のライフルを利用し、銃撃の際に甲冑とマスクを装着していたと警察当局は発表した。」

https://www.cbsnews.com/live-news/dayton-ohio-shooting-suspect-connor-betts-9-killed-mass-shooting-today-2019-08-04-live-updates/


"high capacity magazines"というのが、犯人が使ったライフルに装着されていた弾倉を指します。「ハイ・キャパシティー」ということは「高い容量」、そしてこの場合の「magazines」は「弾倉」という意味になります。


今では「magazines」というと「雑誌」という意味の方が先にきますが、本来は「保存容器」という意味があります。それが転じて、弾を詰めた「弾倉」という意味が生まれています。

英語の辞書には、magazineを次のように定義しています:


Definition of magazine


1aa print periodical containing miscellaneous pieces (such as articles, stories, poems) and often illustrated  =雑誌also such a periodical published online

ba similar section of a newspaper usually appearing on Sunday 日曜版の新聞などに含まれる折り込み

ca radio or television program presenting usually several short segments on a variety of topics 様々なトピックを短く伝えるラジオやテレビ番組

2a place where goods or supplies are storedWAREHOUSE 商品や備品を保管する場所

3a room in which powder and other explosives are kept in a fort or a ship 要塞や船で武器や火薬を保存する部

4the contents of a magazine: such as 次のような中身

aan accumulation of munitions (see MUNITION sense 2) of war 戦争の武器弾薬をまとめたもの

ba stock of provisions (see PROVISION entry 1 sense 2) or goods 食料や製品の在庫

5a supply chamber: such as 次のような供給庫

aa holder in or on a gun for cartridges (see CARTRIDGE sense 1) to be fed into the gun chamber 
銃の薬室に込められる弾薬を入れておく、銃に備え付けられたホルダー
ba lightproof chamber for films or plates on a camera or for film on a motion-picture projector 
=遮光性がある、フィルムや感光版の保存容器、または映写機と一体化したフィルムの保存容器



そもそも、「magazine」の語源はアラビア語で「保存」の意味だそうで、そこから、イタリア語、フランス語を経て英語になったとあります:


mag·a·zine
/ˈmaɡəˌzēn,ˌmaɡəˈzēn/
Origin
late 16th century: from French magasin, from Italian magazzino, from Arabic maḵzinmaḵzan‘storehouse’, from ḵazana ‘store up’. The term originally meant ‘store’ and was often used from the mid 17th century in the title of books providing information useful to particular groups of people, whence magazine (sense 1) (mid 18th century). magazine (sense 3), a contemporary specialization of the original meaning, gave rise to magazine (sense 2) in the mid 18th century.
(Source: Google)

訳)16世紀後半フランス語のmagasin、イタリア語のmagazzino、アラビア語のmaḵzinから。(略)この単語は、もともと「store(保存)」を意味しており、17世紀中頃から特定の集団の人々に有益な情報を提供する書籍のタイトルに頻繁につけられた。(後略)



このように、本来の意味「保存」が転じて「雑誌」という別の意味で使われるようになっても、もともとの意味(「保存→弾の保存→弾倉」)を残して使われている単語は多々あります。

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