英語で「cook(コック)」と「chef(シェフ)」の違いは?

料理人のことを、英語で「cook(コック)」や「chef(シェフ)」と言うのは誰でも知っていると思います。では、「cook(コック)」と「chef(シェフ)」の違いは何でしょうか?「コックは英語でシェフはもともとフランス語!」と答えた人はブッブー。またチコちゃんに叱られますよ。


このサイトでも、「コックとシェフは同義で使う人が多い」とあるように、アメリカ人でも適当に生きている人はこの二つの単語の違いに気がつかずにごちゃ混ぜにして使っています。

しかし、料理の世界では「cook」と「chef」には大きな違いがあります。ざっくり説明すると、「chef」は正式な訓練を受けた料理人のこと、「cook」はそうではない(見習い中の)料理人のことを意味します。

(注意:「cook」を日本語では「コックさん」と言いますが、英語では「クック」と発音します。絶対に「コック」と発音してはいけません。かなり卑猥で下品な意味になってしまうので人前では絶対に口にしてはいけない単語です。)


* * *


例えば、寿司の板前さんは、英語で言うと"sushi chef"(スシ・シェフ)と言います。決して"sushi cook"とは言いません。もし"sushi cook"と言うと、それは見習い中の料理人であったり、下準備をするスタッフを指します。

アメリカの求人情報サイトでも、"sushi cook"の求人がたくさんあるのですが、これはスシが握れる一人前の板前さんを募集しているのではなく、板前の下で食材の準備をするスタッフ募集の求人になります。

板前募集と誤解されないように、レストラン側も次のような言い方で何のポジションを募集しているか明確にしています。

"prep cook"(シェフの指示を受けて下準備する料理人)
"line cook"(ライン・クック=焼き専門、蒸し専門等の下働きの料理人)
"pantry cook"(主にサラダやチーズなど冷たい料理を準備する料理人)
"kitchen cook"(キッチン・クック=シェフの指示を受けてキッチンで働く料理人)


これら「cook」は、全て「sushi chef(板前)」や「sous-chef(副料理長)」の下で指示を受けながら働く料理人になります。

製菓学校でちゃんと訓練を受けた製菓職人も、「pastry chef(ペイストリー・シェフ)」と言い、「pastry cook(ペイストリー・クック)」とは言いません。日本語では「パティシエ(patissier)」と言う方が一般的でしょうか。パティシエはフランス語なので、アメリカではあまり一般的ではありません。pastry chefと言う方が一般的です。

日本で人気だったテレビ番組「料理の鉄人」は、アメリカ版が制作されて人気を博したのですが、その番組名が"Iron Chef America"(アイアン・シェフ・アメリカ)です。決して"Iron Cook"(アイアン・クック)ではないことは、上記の説明で納得できると思います。

アメリカのケーブルテレビ局では、この他にも無名の若い料理人を集めて競争させる番組"Top Chef"が人気です。これもまた、決して"Top Cook"ではありません。「cook=見習い料理人」だとパッとしないですよね。「chef(シェフ)」にはそれほど「腕の立つ立派な料理人」という響きがあります。




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