日本語は世界で最も難しい言語?
アメリカの国務省(日本の外務省に相当)が、アメリカ人(英語を母国語として話す人)にとって習得するのが難しい言語を4段階にランク付けしている。その中で、特に習得に時間がかかる最も難しい言語として、日本語が選ばれている。これは果たして喜ばしいことなのか複雑な心境になるが、なんでも一番になることはいいこと(?)なのかもしれない。
しかもこのランキングは具体的なデータに基づいているので、より信頼性が高い。というのも、国務省は、外交官や職員を各国の大使館や領事館に派遣する前に、その国の言語や文化・政治について習得させるトレーニングを提供している。
国務省の中にある”The Foreign Service Institute's School of Language Studies (SLS)”と呼ばれる機関が外国語の習得トレーニングを提供しているのだが、そこが過去70年間に渡って65カ国語以上を教えてきた経験から、アメリカ人職員が、それぞれの外国語を習得するのにどれくらい時間がかかっているかデータ収集をし、その平均時間を比較してランキングを出しているからだ。
具体的には、“Professional Working Proficiency”(職務上使えるレベル)まで「読み・話し」ができるようになるのにかかる時間の平均値を算出している。「書く」能力が含まれていないのが興味深い。国務省は、とにかく日々の仕事で「使える」ように言語トレーニングを提供することに特化しているということが伺える。(仕事で使えるような「書く能力」は習得するのに非常に時間がかかりすぎて効率的ではないということでもある。)
国務省によると、アメリカ人が日本語で仕事ができるレベルにまで読み、話すことができるようになるのに、88週間(2200授業時間)かかるという。単純計算で、1日5時間勉強して、1年と10ヶ月かかることになる。
この国務省のデータが暗示することは日本人にとっても興味深い。もし「逆も可なり」ということが成り立つのであれば、日本人にとって、英語は世界の中で習得するのが最も難しい言語(の一つ)ということになる。それだけ、日本語と英語は共通点が少なく、自分の母国語の思考回路とは異なる言語ということだ。
さらに、日本人は何年も英語を勉強しても一向に話せないと言われるが、2200時間勉強すれば仕事で使えるほど話せるようになる可能性があるということも示している。
以下は、難易度別に4つのカテゴリーにランク分けされた言語を国務省のサイトから引用したもの。
* Usually more difficult than other languages in the same category.(同じカテゴリーの中のその他の言語よりも、通常さらに困難な言語。)
このリストは実感を伴って納得できる。学生時代に、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語などをかじったが、日仏辞典や日独辞典を引くより、英仏辞典、英独辞典で調べて英語をベースに勉強した方が、断然、理解のスピードも早いし簡単だったのを思い出す。
一方、日本語で勉強すると楽な外国語は中国語だろう。発音や文法は異なるが、何より「漢字文化」という共通点があることが大きい。「必要ない(unnecessary)」は「不要(プーヨー)」だし、「私」は「我(ウォー)」と、なんともとっつきやすい。台湾旅行などに行っても、看板に書いてあることは7、8割理解できる。地下鉄駅のプラットフォームは「月台」と書くことなど、日本語の漢字との決定的な違いをいくつか勉強しておけば、話せなくても読んで理解するのは英語よりも簡単だ。
実は英語が話せるようになれば、スペイン語やフランス語、イタリア語なども読んで理解できることが断然多くなる。もともとラテン語が語源の単語などは、英語の話者であれば意味の想像がつくのだ。
日本人が台湾や中国本土に旅行に行って、だいたい何が書いてあるのかわかるのに似た「既視感」が、英語が話せるようになれば西欧文化圏を旅行する時に感じることができるようになる。
アメリカ人にとって日本語が「世界で最も難しい言語」であるように、日本人にとっても英語は習得するのがかなり難しい言語であるのは間違いないだろう。しかし、世界で一番難しいことをやり遂げてしまえば、あとはそれより簡単になってくる。英語を楽に話せるようになれば、その他の西欧言語(特にロマンス諸語)が一気に身近になるし、英語とは関係ない外国語も、「英語よりは簡単」と感じることができるだろう。
しかもこのランキングは具体的なデータに基づいているので、より信頼性が高い。というのも、国務省は、外交官や職員を各国の大使館や領事館に派遣する前に、その国の言語や文化・政治について習得させるトレーニングを提供している。
国務省の中にある”The Foreign Service Institute's School of Language Studies (SLS)”と呼ばれる機関が外国語の習得トレーニングを提供しているのだが、そこが過去70年間に渡って65カ国語以上を教えてきた経験から、アメリカ人職員が、それぞれの外国語を習得するのにどれくらい時間がかかっているかデータ収集をし、その平均時間を比較してランキングを出しているからだ。
具体的には、“Professional Working Proficiency”(職務上使えるレベル)まで「読み・話し」ができるようになるのにかかる時間の平均値を算出している。「書く」能力が含まれていないのが興味深い。国務省は、とにかく日々の仕事で「使える」ように言語トレーニングを提供することに特化しているということが伺える。(仕事で使えるような「書く能力」は習得するのに非常に時間がかかりすぎて効率的ではないということでもある。)
国務省によると、アメリカ人が日本語で仕事ができるレベルにまで読み、話すことができるようになるのに、88週間(2200授業時間)かかるという。単純計算で、1日5時間勉強して、1年と10ヶ月かかることになる。
この国務省のデータが暗示することは日本人にとっても興味深い。もし「逆も可なり」ということが成り立つのであれば、日本人にとって、英語は世界の中で習得するのが最も難しい言語(の一つ)ということになる。それだけ、日本語と英語は共通点が少なく、自分の母国語の思考回路とは異なる言語ということだ。
さらに、日本人は何年も英語を勉強しても一向に話せないと言われるが、2200時間勉強すれば仕事で使えるほど話せるようになる可能性があるということも示している。
以下は、難易度別に4つのカテゴリーにランク分けされた言語を国務省のサイトから引用したもの。
Category I Languages: 24-30 weeks (600-750 class hours)(カテゴリー1の言語)
"World languages" - Languages more similar to English.(より英語に近い言語)
Danish (24 weeks)
|
Dutch (24 weeks)
|
French (30 weeks)
|
Italian (24 weeks)
|
Norwegian (24 weeks)
|
Portuguese (24 weeks)
|
Romanian (24 weeks)
|
Spanish (24 weeks)
|
Swedish (24 weeks)
|
Category II Languages: Approximately 36 weeks (900 class hours)(カテゴリー2の言語)
German
|
Haitian Creole
|
Indonesian
|
Malay
|
Swahili
|
Category III Languages: Approximately 44 weeks (1100 class hours)(カテゴリー3の言語)
"Hard languages" - Languages with significant linguistic and/or cultural differences from English. This list is not exhaustive. (「困難な言語」ー 英語とは大きく言語学的・文化的に異なる言語。このリストにある言語が全てではない。)
Albanian
|
Amharic
|
Armenian
|
Azerbaijani
|
Bengali
|
Bulgarian
|
Burmese
|
Czech
|
Dari
|
Estonian
|
Farsi
|
Finnish
|
Georgian
|
Greek
|
Hausa
|
Hebrew
|
Hindi
|
Hungarian
|
Icelandic
|
Kazakh
|
Khmer
|
Kurdish
|
Kyrgyz
|
Lao
|
Latvian
|
Lithuanian
|
Macedonian
|
Mongolian
|
Nepali
|
Polish
|
Russian
|
Serbo-Croatian
|
Sinhala
|
Slovak
|
Slovenian
|
Somali
|
Tagalog
|
Tajiki
|
Tamil
|
Telugu
|
Thai
|
Tibetan
|
Turkish
|
Turkmen
|
Ukrainian
|
Urdu
|
Uzbek
|
Vietnamese
|
Category IV Languages: 88 weeks (2200 class hours)(カテゴリー4の言語)
"Super-hard languages" - Languages which are exceptionally difficult for native English speakers.(「超困難な言語」 ー 英語を母国語とする話者にとって稀なほど困難な言語。)
Arabic
|
Chinese – Cantonese
|
Chinese – Mandarin
|
*Japanese
|
Korean
|
このリストは実感を伴って納得できる。学生時代に、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語などをかじったが、日仏辞典や日独辞典を引くより、英仏辞典、英独辞典で調べて英語をベースに勉強した方が、断然、理解のスピードも早いし簡単だったのを思い出す。
一方、日本語で勉強すると楽な外国語は中国語だろう。発音や文法は異なるが、何より「漢字文化」という共通点があることが大きい。「必要ない(unnecessary)」は「不要(プーヨー)」だし、「私」は「我(ウォー)」と、なんともとっつきやすい。台湾旅行などに行っても、看板に書いてあることは7、8割理解できる。地下鉄駅のプラットフォームは「月台」と書くことなど、日本語の漢字との決定的な違いをいくつか勉強しておけば、話せなくても読んで理解するのは英語よりも簡単だ。
実は英語が話せるようになれば、スペイン語やフランス語、イタリア語なども読んで理解できることが断然多くなる。もともとラテン語が語源の単語などは、英語の話者であれば意味の想像がつくのだ。
日本人が台湾や中国本土に旅行に行って、だいたい何が書いてあるのかわかるのに似た「既視感」が、英語が話せるようになれば西欧文化圏を旅行する時に感じることができるようになる。
アメリカ人にとって日本語が「世界で最も難しい言語」であるように、日本人にとっても英語は習得するのがかなり難しい言語であるのは間違いないだろう。しかし、世界で一番難しいことをやり遂げてしまえば、あとはそれより簡単になってくる。英語を楽に話せるようになれば、その他の西欧言語(特にロマンス諸語)が一気に身近になるし、英語とは関係ない外国語も、「英語よりは簡単」と感じることができるだろう。
コメント
コメントを投稿