【動画】アメリカの高校生が卒業スピーチで教師と学校の醜態を暴露

今週、アメリカ西海岸のサンディエゴにあるサン・イシドロ(San Ysidro)高校の卒業式で、卒業生総代(valedictorian)としてスピーチをしたナタリーが、教師と学校職員の無責任な行為を避難する爆弾発言をしてニュースになっている。カリフォルニア英語なので、非常に明瞭な発音で、しかもゆっくりと落ち着いてスピーチしているので聞き取りやすいはずだ。リスニングの訓練として、彼女が暴露した教師や学校の醜態の具体例について、どれくらい聞き取れるか試してみるのがおすすめ。

これが彼女のスピーチの全容を録画した動画。彼女の顔は手すりに隠れて映っていないが音声は明瞭だ。

最初は、両親や友人などへの感謝の気持ちを伝える普通のスピーチなのだが、開始後1分19秒くらいから怪しくなってくる。

進路相談カウンセラーへ、「自分を守る方法を教えてくれて感謝します」と言ったかと思うと、「You were always unavailable(私と両親が面会の予約を入れているのに、いつも会ってくれなかった)」と風向きが急に変わる。「あなたはここ数週間、授賞式と卒業式が近くなる頃になって初めて姿を見せるようになった」。「あなたの受け持った学生の一人である私が卒業生総代に選ばれたけれど、私が達成した優秀な成績にあなたは何の役割も果たしていない」とナタリーは落ち着いた声で語る。おそらく、この進路相談カウンセラーもこの卒業式に参加していただろうが、どのような気持ちでこのスピーチを聞いていたのだろうか。

ナタリーの暴露話はまだまだ続く。

次は学校の職員についてだ。「自力で解決する能力を養わせてくれて感謝します」と言ったかと思うと、「あなたたちの過失によって、いくつかの奨学金について申し込み締め切り日の前日になるまでその存在を知らされなかった。大学へ行くための奨学金を数千ドルも見逃してしまう恐れがあった」と辛辣だ。

この他にも、在学中にアルバイトをしたいと必要な書類を学校に提出したが、書類に不備がないのに何度も意味なく却下され解決されなかったこと、そして極め付きは、今年になってとある教師が泥酔した状態で授業にくることが常態化してしまっていたことだ。「ついにあなたは警察官によって学校から連行されてしまいました」と警察沙汰になった事にも言及。「アルコール依存症の恐怖を私たち学生に身を以て教えてくれて感謝します」と、最高の皮肉でスピーチを締めくくっている。彼女のスピーチを静かに聞いていた卒業生たちは、最後に歓声をあげ大きな拍手をナタリーに送っている。

そして以下の動画は、彼女のスピーチを報道するアメリカのニュース番組2本。ナタリーは音声だけで番組のインタビューにこたえていて、学生へのサポートが欠落していたことを知らしめたかったと語っている。彼女の母親も「good job」と娘を称えている。一方、この学校がある学区の広報担当者は、電話インタビューで、「個別の案件にはこたえられないが、教師たちは一生懸命、学生たちのために働いている」と言うにとどまっている。




ナタリーの卒業スピーチを聞くと、この高校がかなり無責任で問題の多い学校であることが想像できる。卒業スピーチで「憂さ晴らし」をしただけとナタリーを非難する人もいるようだが、おそらく、彼女がスピーチで暴露してニュースにならなければ、この学校の体制や体質は広く知られず、同じままだった可能性が高い。ナタリーの勇気あるスピーチで、この学校の職員や教師が心を入れ替えてくれることを祈るばかりだ。

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