投稿

6月, 2019の投稿を表示しています

アメリカ人とカナダ人の話す英語の決定的な違いはこれ

イメージ
日本語にも色々な方言があるように、英語にも地域や階級によって色々な「方言」がある。本国の英国の中でも、ロンドンからスコットランドや北アイルランドの「方言」があり、オーストラリアやニュージーランドで話されている英語も個性的だ。それらに比べて、カナダで話される英語はアメリカ英語とほとんど違いがなく、アメリカ人ですらカナダ人と気がつかずに(アメリカ人と思って)相手とずっと会話しているということがある。 海外留学を計画している日本人の間でも、アメリカ英語(北米英語)が学べて、なおかつアメリカより犯罪率が低い安全な国というイメージからカナダを留学先に選ぶ人がいる。 カナダの人口は 3700万人 (2018年)と、アメリカの 3億2700万人 (2018年)の10分の1強。カリフォルニア州の人口が 3956万人 (2018年)なので、カナダ人はカリフォルニア州民よりも人口が少ない事になる。その人口の少なさから、アメリカのように、ボストン訛り、ブルックリン訛り、シカゴ訛り、というような有名な方言はほとんど見当たらない。 強いて言えば、カナダでは東海岸のニューファウンドランドとラブラドールで、アイルランド系の労働者階級が話す英語に近い「方言」が話されていたり、フランス語圏のケベックで話される英語が特徴的であると 言われている 。しかしこれら地域をのぞいて、あの広い国土のどの地域でもかなり均質的な英語が話されている。 しかし、カナダ人と話をして、ものの数分でその人がカナダ人だとわかる訛りというのがある。それは"about"の発音の仕方だ。 日本の学校でも、"about"の発音は「アバウト」と習うだろう。この単語はすでに日本語にもなっていて、「アバウトな人」というように「適当」という意味で使われている。 カナダ人は、この単語を「アバウト」とは発音しない。 人によって、訛りの強弱はあるのだが、カナダ人は「ア・ボウト」と発音する。これがアメリカ人の耳には、「a boat (一隻の船)」と同じ発音に聞こえる。そのため、アメリカ人がカナダ人をからかうとき、"There are too many boats (船がたくさんありすぎる、つまり「ア・ボウト」と頻繁に言い過ぎで耳障りだ)"と言ったりする。

英語では日本の「ミカン」を「オレンジ(orange)」とは言わない!

イメージ
さて、日本の「ミカン」を英語では何という?「オレンジ(orange)」と思った人、「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」とカツを入れておきましょう。

英語で「だいたいの数字」を意味する「野球場」とは? #ballpark, #出川イングリッシュ

イメージ
テレビ番組「イッテQ」の不定期コーナー「初めてのおつかい」がすごい。芸人の出川哲朗が海外で道行く人たちに英語で質問して、目的の場所まで行くというチャレンジに挑戦するのだけれど、「出川イングリッシュ」と言われる間違いだらけの英語の破壊力が笑いを誘う。しかも支離滅裂なジャパン・イングリッシュでも通じてしまうことがある。

「不意を突かれる」を意味する”Caught off guard”

イメージ
「できる」日本人の上司と、とある電話会議に参加した時の出来事。この上司は帰国子女で、小中校を英語圏の学校で過ごした人。英語がネイティブではないけれど、かなり英語でディベートもできる。そんな「できる」上司と、アメリカの協力会社との電話ミーティングに参加したときのこと。

アメリカ人が興味がないときにする短い羊のような鳴き声「メ(Meh)」

イメージ
外国語を習得するときには、ジェスチャーや「言葉にならない言葉」も知っていないと困ることがある。例えば、日本語で静かにしてと「しー」というのは、英語でも唇の前に人差し指を立てて"Shhh"(シュの音に近い)と言い非常に似ているが、自分を指差すときに人差し指で自分の鼻(顔の中心)を指すのはとても日本人的でアメリカ人には不思議に映る。アメリカ人が自分を指差す場合、胸の中心を指でさすのが普通だ。

空手キッドのイメージがつきまとう英語の表現: under my belt

イメージ
メールで届いたニュースレターを開いたら、どこかで見たことのある俳優のインタビュー動画が紹介されていた。メールのメッセージに、The Karate Kid(空手キッド)とかMr. Miyagi(ミスター・ミヤギ)とあり、あの映画から35年とある。このRalph Macchioという俳優は、あの空手キッドで主演を務めた俳優だ。 確かに当時の面影が残っている。あのひ弱でいじめられっ子の役を演じた少年が、こんな大人になったのかと驚いた。子役の成長した姿というのは往往にしてガッカリ感がつきまとうものだが、彼の場合はうまく歳を重ねているように見える。 今年が「空手キッド」の映画からちょうど35周年ということや、「空手キッド」のリメーク作品がYouTubeオリジナル・シリーズとして配信されているため、番宣を兼ねてこのインタビューは行われたようだ。 「空手キッド」のリメークドラマは「Cobra Kai」というタイトルらしく、今YouTubeで第2シーズンが配信されている。 これは「Cobra Kai」第2シーズンの予告動画。35年前、空手を通して強く成長する少年役を演じた彼が、リメークドラマではMr. Miyagiのような空手の師匠役として登場している。 おそらく視聴制限がかかっていてアメリカ国内からだけしか見られないだろうが、第1シーズンの1話と2話、そして第2シーズンの第1話は、この記事執筆の時点で無料で視聴できる。 「空手キッドは」全米で大ヒットした映画だが、このおかげでアメリカ国内で空手ブームや忍者ブームが起きた。今のアニメやラーメン・ブームが起きるずっと前に起きた、最初の「日本ブーム」だったと言えるのではないだろうか。 当時、この空手キッドよりも年下だった筆者も、日本で日本語吹き替え版を見た記憶が鮮明に残っている。 その後、英語を生業にする仕事をするようになったが、空手キッドをいつも連想してしまう英語の表現がある。 それは Under my belt という表現だ。文字通り訳すと、「ベルトの下」ということになるが、その意味は「経験を積む」という慣用表現になる。 例えば、I have four languages under my belt と言えば、「私は4ヶ国語を 習得している 」という意味になるし、He

絶妙な英語訳 ー「トキメキ」を"spark joy"と訳した近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』

イメージ
今アメリカで一番話題の日本人は、紛れもなく近藤麻理恵さんだろう。片付けの指南書『 人生がときめく片づけの魔法 』で一躍人気になり、さらにそれがネットフリックスの番組" Tidying Up with Marie Kondo "( マリエ・コンドーと一緒に整理整頓 )になって全米のみならず世界に配信されている。 彼女の整理術を一言で言い表すと「トキメキ」だ。本のタイトルも「人生がときめく〜」とあるように、トキメキを感じる気持ちを大切にして物を整理するのが彼女の整理整頓の哲学。それが、アメリカ人が東洋文化に対して抱いている神秘主義とあいまって、アメリカ人の間で(ヨガブームの時のように)瞬く間に人気が広がったのだろう。 彼女の書籍「人生がときめく片づけの魔法」でも、「トキメキ」という単語が多用されている。その英語版で、「トキメキ」は"Spark joy"と訳されている。英語の翻訳版を読んだアメリカ人の知人から、「Spark joyって日本語の原書ではなんと言っているの?」と質問された。彼女は日本語を多少学んだことがあるため、日本語でどう言うのか知りたかったようだ。 「喜び・期待などで胸がどきどきする」という意味の「トキメク」の語源は、「 不詳であるが「動悸」 + 接尾辞「めく」か 」とある。確かにドキドキ感が「トキメキ」の中にあるように感じられる。特に一目惚れのシーンなどでトキメキを感じると言うのは、そのドキドキした鼓動が由来しているのかもしれない。 その「ドキドキ感」を、彼女の書籍の英語版では「 spark(火花) 」と「 joy(喜び) 」をつなげた表現で翻訳している。英語版の書籍のタイトルも、ズバリ" Spary Joy "だ。イメージとしては、火花が一瞬バチっと散る、そんな瞬間的な弾け飛ぶ喜びという感覚だろうか。 「トキメキ」を表現する英語には色々あり、形容詞だと throbbing (喜びなどで心臓がドキドキする)、動詞だと resonate (心の中に響きわたる)や、 touch a chord (人の琴線に触れる)というような言い方もできる。 アメリカで日常生活を送っていると、 That movie resonates with the young generatio

和製英語クイズ ー 和製英語を研究しているアメリカ人アン・クレシーニさんがテレビに出演

イメージ
北九州在住で和製英語を研究されているアメリカ人教師のアン・クレシーニさんがテレビに出演され、「和製英語クイズ」を出題されていた。彼女の書籍「 ペットボトルは英語じゃないって知っとうと!? 」がテレビ画面で紹介され、その表紙によるとクレシーニさんは北九州市立大学の准教授だそう。 彼女のブログ「アンちゃんから見るニッポン」はこちら 。(画像:amazon.co.jp) このときの番組の動画がいくつかネットにアップされている。 第3弾とあることから、これまでにも2回この番組に出演されて「和製英語クイズ」を出題されているということなのだろうか。 今回の第3弾の「和製英語クイズ」では、次の2問が出題されていた。 本物の英語はどれでしょう? Q1. ①リップクリーム ②オープンカー ③ビアガーデン ④キーホルダー Q2. ①キャリアウーマン ②ウィンカー ③ペーパードライバー ④ツインテール Q1の答えは③、Q2の答えは①。改めて、日本語には多くの英単語が取り入れられているなと思いつつ、英語としては通用しないものが多いことに気付かされた。以前、ここでも 日本人が使う「ボリューミー」が英語としては通用しない ことを紹介したことを思い出した。 日本人は英単語を日本語の中で多様しているぶん、英語を話すときは思わず和製英語を使ってしまわないよう気をつける必要がある。 ここでふと思い出した。この番組では紹介されなかったが、例えば髪を剃ったりハゲたりして頭がツルツルのことを「スキンヘッド(skin head)」と言うのも和製英語であるということ。英語では"shaved head(剃った頭)"と言うのでご注意を。他にも英語として通用しない和製英語はたくさんあるけど、また思い出した時に紹介したい。 * * * 一方、この番組内で、クレシーニ先生の説明が間違っているところがあるのに気が付いた人はいるだろうか? 「シュークリーム」も和製英語で、英語圏では"shoecream(靴のクリーム)"になると説明している部分が間違い。日本語の「シュークリーム」は和製英語なのではなく、もともとフランス語のchoux creme(シュ・クレム)が語源だから。見た目がキャベツ(フランス語

意外と知らない「But(でも)」のニュアンス

イメージ
前回が超難関な単語 だったので、今回は超簡単な単語をテーマに選んでみよう。それは誰でも知っている接続詞の「 But(でも、しかし) 」だ。英語を学び始めた人にとって、かなり初期に習うことになるであろうButは、英会話でとても重要な上に、短く発音も簡単だ。そのため多くの人が使っているだろうが、まさか自分の使い方に問題があるとは思っていない。 中学・高校の英語教育でどの先生も教えてくれなかったのは、英語で文章を書く時、 「But」が幼稚な言葉になりうる ということだ。日本の大学で英語のコンポジション(文章を書く)授業を受けた時、英語がネイティブの教師からまず指摘されたのは、「 新たな文章をButで始めてはいけない(なるべく避けるべきである) 」ということだ。Butで文章を始めるのは子供がすることだという。もし論理の展開上、「しかし〜」と新たに文章を始めたい場合、 「However」や「Though」「Yet」 などの別の「しかし〜」や「〜だが」を意味する接続詞を使うようにとアドバイスを受けた。 もちろん、ネイティブの人が書く文章でも、Butで始まる文を見かけることはある。しかしそれは何かを特に強く強調したい時であったり、幼稚には聞こえない文章の流れがすでに作られていて、ネイティブではない人が簡単にできるワザではない。そのため、論文、ビジネス文書、願書、入学エッセーなど真面目な文章を英語で書く場合、新たに「しかし〜」と文章を始めたい場合は、「But〜」ではなく「However, 〜」とした方が無難だ。 もちろん、2つの文章をButでつなげ1文にしたり、"I like A  but  not B."というように文章の中で'but'を使うのは真面目な文章でも問題ない。あくまで、文章の頭にButを書くのはなるべく避けようということだ。 それでは、話し言葉でButを使いたい時は何に気をつければ良いだろうか?会話の中で使う場合、文章を書く時ほど、頭出しをButで始めると幼稚に聞こえるということはない。もちろん、真面目なスピーチやインタビューを受けるとき、会話の中でもButより堅いHoweveが好んで使われる傾向がある。 それよりも注意すべきなのは、誰かと会話をするとき、相手の発言を受けて「But〜」で始めると、敵対している

ニューヨークタイムズのコラムニストが使ってみせた超難解な単語"Solipsistic" 「唯我論」

イメージ
アメリカは、国の成り立ちから「大きな政府」を嫌う国民性。そもそも、イギリス政府による重税を嫌気して「ボストン茶会事件」が起き、それがアメリカの独立戦争にまで発展した。その歴史が脈々と受け継がれていて、今でもアメリカには国立大学はなく、有名大学として上位にランク付けされるのはアイビーリーグのハーバード大学やスタンフォード大学などの私立大学がほとんどだ。「公立大学」としてあるのはカリフォルニア大学やミシガン大学などの州立大学やコミュニティカレッジなどの市立大学。国民一般の間でも、エリート大学は上位の私立大学で、それに比べて(州立などの)公立大学は格が下がるというイメージがある。(Screenshot from PBS News) そしてテレビ局も、アメリカには日本やイギリスのような国営放送はないが、 PBS と呼ばれる公共放送がある。日本のNHKに相当すると言われることもあるが、正確には非公開NPO法人で、運営はもっぱら寄付金によって成り立っている。ドラマやバラエティは放送せず、主力はニュース報道や教育番組。 そんなPBSの夜の看板ニュース番組が NewsHour と呼ばれる番組で、毎週金曜日は、ニューヨークタイムズで政治担当の有名コラムニスト、デービッド・ブルックス(David Brooks)と、政治コラムニスト兼コメンテーターのマーク・シールズ(Mark Shields)がコンビで登場する。 先日金曜、いつも通り二人が登場し、盛り上がる大統領選について解説を行った。これがその時の番組。(日本国内からは視聴制限がかかっている可能性あり。) PBSのオフィシャルYouTubeチャンネルより PBSのオフィシャルサイトより 再来週、民主党から立候補している大統領候補者20人が、10人ずつ2組に分かれて2時間ずつの討論会を行う。今回は20人もの大人数の候補者が乱立する展開で、10人ずつ2晩に分かれて討論会を行うという異例の状況。 毎年、このテレビ討論会を通して候補者の絞り込みを行っていく。そのため、同じ民主党から出馬している候補者たちが、互いに論戦を挑み、歯に衣着せぬ「泥仕合」になるのが通例。しかし今回は2晩に分かれて行うため、第一回目のテレビ討論会では、直接、激論を交わすことができない候補者たちがいることになる。 このことに関

【動画】アメリカの高校生が卒業スピーチで教師と学校の醜態を暴露

イメージ
今週、アメリカ西海岸のサンディエゴにあるサン・イシドロ(San Ysidro)高校の卒業式で、卒業生総代(valedictorian)としてスピーチをしたナタリーが、教師と学校職員の無責任な行為を避難する爆弾発言をしてニュースになっている。カリフォルニア英語なので、非常に明瞭な発音で、しかもゆっくりと落ち着いてスピーチしているので聞き取りやすいはずだ。リスニングの訓練として、彼女が暴露した教師や学校の醜態の具体例について、どれくらい聞き取れるか試してみるのがおすすめ。 これが彼女のスピーチの全容を録画した動画。彼女の顔は手すりに隠れて映っていないが音声は明瞭だ。 最初は、両親や友人などへの感謝の気持ちを伝える普通のスピーチなのだが、開始後1分19秒くらいから怪しくなってくる。 進路相談カウンセラーへ、「自分を守る方法を教えてくれて感謝します」と言ったかと思うと、「You were always unavailable(私と両親が面会の予約を入れているのに、いつも会ってくれなかった)」と風向きが急に変わる。「あなたはここ数週間、授賞式と卒業式が近くなる頃になって初めて姿を見せるようになった」。「あなたの受け持った学生の一人である私が卒業生総代に選ばれたけれど、私が達成した優秀な成績にあなたは何の役割も果たしていない」とナタリーは落ち着いた声で語る。おそらく、この進路相談カウンセラーもこの卒業式に参加していただろうが、どのような気持ちでこのスピーチを聞いていたのだろうか。 ナタリーの暴露話はまだまだ続く。 次は学校の職員についてだ。「自力で解決する能力を養わせてくれて感謝します」と言ったかと思うと、「あなたたちの過失によって、いくつかの奨学金について申し込み締め切り日の前日になるまでその存在を知らされなかった。大学へ行くための奨学金を数千ドルも見逃してしまう恐れがあった」と辛辣だ。 この他にも、在学中にアルバイトをしたいと必要な書類を学校に提出したが、書類に不備がないのに何度も意味なく却下され解決されなかったこと、そして極め付きは、今年になってとある教師が泥酔した状態で授業にくることが常態化してしまっていたことだ。「ついにあなたは警察官によって学校から連行されてしまいました」と警察沙汰になった事にも言及。「アルコール依存症の恐怖を私たち学

香港の「逃亡犯条例」改正に反対する大規模デモ ー それを報じるアメリカのメディアが使う単語"extradite" とは?

イメージ
ここ数日、日本も含め、アメリカのメディアでも大きく取り上げているのが香港の大規模デモだ。香港にいる犯罪容疑者を、中国本土に引き渡す「逃亡犯条例」の改正に反対するデモで、もし改正が可決されれば、香港の自由が失われると懸念されている。これは香港人だけでなく、香港に滞在している外国人や香港の空港などでトランジットする外国人にも適用されるので、人ごとではない事態だ。 アメリカ人は、たとえ短期の旅行でも中国本土を訪問する場合は、アメリカの中国大使館や領事館で事前に観光ビザを取得する必要があるが、香港を訪問するときはそれが必要なく、米国のパスポートだけで訪問できる。そして米国から東南アジアを訪問する場合、距離が遠いため、一度、日本や香港の空港で乗り継ぎをして移動する場合が多い。もし香港の「逃亡犯条例」が改正されてしまうと、乗り継ぎだけで香港の空港に降り立ったアメリカ人(そして日本人)が、中国政府に逮捕され中国本土に移送されてしまうということも将来的に起こりうる。 2013年に、エドワード・スノーデンがアメリカの国家機密情報を持ち出して米国を脱出した際、香港に潜伏していたことを思い出す人もいるのではないだろうか。そのことを突き止めた米国政府は、香港政府に対してスノーデンの引き渡しを求めたが、香港政府は見て見ぬ振り(?)をして、スノーデンがロシア行きの飛行機に搭乗して香港を脱出することを黙認した。もし香港の「逃亡犯条例」が改正されれば、こうした場合、ほぼ確実に中国が口出しをして容疑者の引き渡しを香港政府に要求することが予想される。 その時のことを詳しく描いた映画に、オリバー・ストーン監督の『スノーデン(Snowden)』や、ローラ・ポイトラス監督の『シチズンフォー スノーデンの暴露(Citizen Four)』がある。『シチズンフォー スノーデンの暴露(Citizen Four)』はドキュメンタリー映画のため、香港に潜伏しているスノーデン本人をリアルタイムでインタビューしている。最初にオリバー・ストーン監督の『スノーデン』を見て、それから『シチズンフォー スノーデンの暴露』を見るとスノーデン事件の内側がよくわかる。 ちなみに、スノーデンが話す英語は、非常に明瞭な発音で、しかも理路整然としていて英語のリスニングの勉強にもうってつけだ。知識をひけらかさなくても、変な

TikTokがアメリカでもブームにーーただしTikTokの人気者は「痛い」人たち?

イメージ
日本の10代の間で人気のショート動画アプリTikTok(ティックトック)が、アメリカにも上陸。今年になって、アメリカのニュースサイトNBC Newsに、アメリカで人気のTikTokスターとしてローレン・ゴッドウィン(Lauren Godwin)さんとセバスチャン・ベイルズ(Sebastian Bails)さん(共に19歳)への インタビュー記事 (無料記事)が掲載されていた。今月3月には、 ニューヨークタイムズ紙もTikTokについての記事 (有料記事)を掲載している。主要メディアが10代の間で瞬く間に広がったブームに気が付いて全米の大手メディアも報道し始めたようだ。(Screenshot: nbcnews.com) しかし、NBC Newsのインタビュー記事でTikTokスターは、 cringe (クリンジ)と schadenfreude (シャーデンフロイデ)の対象として紹介されている。今回はこの二つのキーワードをご紹介しよう。 ローレン・ゴッドウィンさんとセバスチャン・ベイルズさんは、二人で協力してTikTok動画をアップして人気になった。セバスチャン・ベイルズさんは、アメリカ版「りゅうちぇる」といった印象。肌を小麦色に焼き、髪も脱色し、男性ながらメークもバッチリ決めている。「メークなしでは絶対に動画に出たくない」とインタビューでも答えている。 2016年10月に中国版がリリースされ、日本では2017年夏にリリースされたTikTokだが、アメリカでも昨年(2018年)から急激に人気になっており、日本と同じように中高生の間で人気がある。そのほかにも米軍の兵士が、派兵先の戦地キャンプで撮影したTikTokの動画も人気になっていたりするのがとてもアメリカ的。(日本の自衛隊員や警察官が、制服を着たままTikTokにダンス動画や口パク動画を投稿しているとは聞いたことがない。) ローレン・ゴッドウィンさんとセバスチャン・ベイルズさん二人へのインタビュー動画はここで視聴することができる。(もしかすると米国内以外からのアクセスは制限されているかもしれない。) しかし、NBC Newsの記者は、「TikTokスター」のローレン・ゴッドウィンさんとセバスチャン・ベイルズさんの「人気」は、憧れからというより嘲笑の対象として「人気」があるという分析を

【動画】クリス・ヘムズワースがオーストラリア英語のスラング・クイズに挑戦 ー 新作映画「メン・イン・ブラック:インターナショナル」の告知もかねて

イメージ
全米では今週6月14日(金)、新作映画の「 メン・イン・ブラック:インターナショナル(Men In Black: International) 」が公開される。Daigoもびっくり、「メン・イン・ブラック」を略して「MIB」。その番宣も兼ねて、新作「MIB」で初代ウィル・スミスに代わって主役を演じるオーストラリア人俳優のクリス・ヘムズワース(Chris Hemsworth)が、同じくオーストラリア人の人気ユーチューバーOzzy Manの動画に登場。オーストラリア英語のスラング(俗語)クイズに挑戦している。(Photo: Sony Pictures Entertainment) ウィル・スミスが演じる初代のMIB、好きだったのになぁと少し残念。ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの凸凹コンビっぷりは絶妙のバランスだった。今回、題名に「international」とついていることから、アメリカ人以外のインターナショナルな俳優陣を選んだようだ。令和になって(アメリカで新元号は関係なく偶然のタイミングだけれど)MIBも俳優を刷新して再スタート。もしかすると、今時の中高生の中には、 ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズが演じる初代MIB を見たことがない人が意外と多いかもしれない。 こちらがクリス・ヘムズワースがクイズに挑戦する動画。前半は今週公開の「メン・イン・ブラック:インターナショナル(Men In Black: International)」の告知で、クイズは動画開始後4分たってからの後半部分。 「学校では教えてくれないアメリカ英語」と冠しているけれど、たまにはこういうオーストラリア英語もご紹介。ただし、こういうオーストラリア英語は、アメリカ人やカナダ人、イギリス人に使ってもわかってもらえない可能性が高いのでご注意を。(動画を見ると、スラングだけではなくオーストラリアに関する雑学クイズも含まれている。) Q 1. fair dinkumとはどういう意味? 答え:それが真実、本物であることを強調するために使われる。 Q 2. Who is Toadie?(Toadieとはだれ?) What street does he live on?(彼はどの通りに住んでいる?) 答え: Toadieは昔のメロドラマの登場人物で、Rams

【動画】フランス人にとって英語の発音は超難しい!:パリジャンに英語の発音をしてもらったら悲惨な結果に

イメージ
アメリカでこんなYouTube動画が話題になっている。公開6日目で160万回の再生回数。パリの街中でフランス人に、いくつかの英語の単語を発音してもらっている動画。普通に『Though〜(〜だけど)』とか『Jeweler(ジュエラー)』、『Squirrel(リス)』など、日常的に子供でも使う単語が、意外とフランス人にとっては舌がカミカミになるというのがよくわかる内容で見ていてクスッと笑える。ちなみに、英語で「舌がもつれる」や「舌を噛む」事を"tongue tied"(舌が結ばれてしまう)と言うので覚えておくと便利。 こちらがその動画。フランス語の会話に、英語の字幕がついている。フランス語がわからなくても、英語の発音に苦労している様子がよくわかる。 フランス人が発音にチャレンジをした英単語は次の8つ。おそらく、インタビュアーがお手本で英語の発音をしてみせて、それに続いて真似できるかテストしているようだ。 Thorough(徹底的な) Hedgehog(ハリネズミ、ヤマアラシ) Squirrel(リス) Massachusetts(マサチューセッツ) Lettuce(レタス) Though(〜だけど) Jeweler(ジュエラー、宝石商) Psychophysicotherapeutics(心理物理療法) フランス語には、舌を前歯で軽く噛む"TH"(/θ/)の発音が存在しないので、インタビューを受けたフランス人たちがとても苦労しているのがわかる。1つ目の単語thoroughと6つ目のThoughは共にこの"TH"の発音から始まるのでほぼ全員が失敗。一人目の女性は、thoroughの発音を"zoro"(「怪傑ゾロ」のゾロ)と発音してしまっている。「TH」の発音ができないので代わりに「Z」と発音している。これは日本人もやりがちな間違い。そして6つ目の単語Thoughについて、一人目の男性は"thow"と、もう一人の女性はthrew(投げた)と発音してしまい失敗。 2つ目のHedgehogもフランス人にとっては発音が難しい。というのも、フランス語では基本的に「H」の発音をしないからだ。例えば、サッカーの本田選手の名前は、フランス人に言

使うときに気をつけたい単語:"Foreigners"(外国人)

イメージ
日本では「働き方改革」で残業ができなくなり、副業を始めるサラリーマンが増えているらしい。先日も、空いた時間にスカイプを利用して日本語を外国人に教えるビジネスマンがテレビ・ニュースで紹介されていた。そのインタビュー番組で紹介されていたサイトをのぞいてみたところ、日本国内よりも、むしろ海外在住の日本人が、日本語の先生として登録している方が多い印象を受けた。 そんな先生たちのプロフィールを見てみると、自分の顔写真に加えて、簡単な自己紹介文と自己紹介動画を掲載している。中には、オンライン・デート・サイトかと見間違うような魅惑的な写真を掲載している先生もいれば、フェースブックからそのまま持ってきたようなカジュアルなスナップ・ショットを掲載している人もいる。経歴も、実際に高校教師をしていたというプロの先生もいれば、まだ大学生でアメリカに留学中というバイト感覚の人もいて幅広い。 自己紹介文をさらに見てみると、日本語初心者にとってわかりやすいように、全てひらがなで書いている人がいれば、自分の経歴、趣味、日本語教師としての実績などを英語で外国人にとってわかりやすく紹介している人もいる。こういうところにも個性が現れていて面白い。 これだけ年齢層も経歴も違う先生が登録しているとあっては、日本語を勉強している学生にとって、どの先生を選んでいいか非常に迷うところだろう。友達感覚(場合によっては恋人感覚?)になれる若い先生を選ぶか、社会人経験豊かな(だけど少し近寄りがたい)先生を選ぶか、迷うところだ。 一方、日本語の先生たちが、生徒に選んでもらうためにどのように自分をアピールしているか興味津々に眺めていたところ、やはり気になったのは英語による自己紹介のところ。もちろん、日本語がネイティブの先生たちなので、英語はノン・ネイティブな人が多い(少なくとも完璧な日本語と英語のバイリンガルらしき先生は1、2人しか見かけなかった)。ただ、それにしてもひどい英語が結構な頻度で目に付く。思わず赤ペンをとって手を入れたくなったくらいだ。 特に気になったのが、「外国人に日本語を教えた事があります」というセールスポイントを言う部分。何年くらい日本語を外国人に教えた事があるかという情報は、自分がどれくらい経験を積んだ日本語教師かという事をアピールするのに重要だ。そのため、このポイントを英語でア

ハリウッド版「米津玄師」?:どれだけ適当に名前を検索しても出てくるハリウッド俳優

イメージ
昨年の紅白に出場した歌手の米津玄師(よねづ・けんし)さん。そこでも歌った「Lemon」は史上最速で200万ダウンロードを突破しているそう。しかし彼の名前が珍しいため、多くの人が彼の名前をうろ覚えに記憶し、適当に検索しているという事が今年2月頃ツイッターを中心に話題になっていた。 米津玄師、どれだけ適当に検索しても出てくる説 玄米レモンおにいさん?…適当に検索しても出てくる米津玄師が凄い! 「玄米レモンおにいさん」というパワーワード  「世ね図健士」「こめづなんとか」「lemonけんじ」などのワードでも米津さんがヒットしたといい、それらの検証結果も合わせて報告したところ、リプライ欄は「こんなワードでもいけた」という大喜利の嵐に。  「玄米レモンおにいさんでもいけた」(原形とどめてなくない?) 「十律ム師 でもいけました」(画数足りてないから!) 「米村剣心」(抜刀斎かな) 「米米けんし」(懐かしいの混ざってる!) (BuzzFeed.comから引用。)  米津玄師さんの話題が日本のネットを賑わせていたちょうど同じ頃、これと似た現象がアメリカでも起き、ネットを騒つかせていた。 アメリカでこの「名前が難しすぎる有名人問題」に火をつけたのは、‘ The Gyllenhaal Experiment ’(ジレンホール実験)。 これは、Russell GoldenbergさんとMatt Danielsさんの二人が、英語の単語や人名のスペルミスを可視化するプロジェクトに付けた名前。ハリウッド俳優の ジェイク・ジレンホール(Jake Gyllenhaal) の名前から取っている。「ジレンホール(Gyllenhaal)」は、アメリカ人にとって正しくつづるのが非常に難しい名前の一つ。 そもそも、英語の名前は、たった26個のアルファベットの組み合わせのため、2000以上ある漢字やひらがな、カタカナが複雑に組み合わされる日本語の名前とは比べ物にならないくらい簡単なはずと思うかもしれない。 しかし、意外と名前のスペル間違いは多いし、英語がネイティブの人にとって覚えにくいアメリカ人の名前というのがある。「ジレンホール(Gyllenhaal)」というのも、元々はスウェーデン人の名前であるため、アメリカ人にとってはスペルを正しく覚えるのが難しい

日本語が語源の英単語:「モグサ」と「お灸」

イメージ
俳優の武田真治さんが、テレビ番組『世界まる見え! テレビ特捜部』の中で、海外の空港の税関で呼び止められ荷物検査を受けたときのことを話していた。 武田真治、空港税関で止められた過去 所持していた「枯れ草」はまさかの VTR鑑賞後、武田が「1回だけ、荷物を出されて検査されたことがある」と空港税関でのエピソードを披露する。海外でサックスのレコーディングに行った武田。バッグから枯れ草が出てきて、マリファナなどと疑われたのだが、それは痛めがちな手首に使う「お灸」だった。「そりゃ怪しいだろうな」と思いながらも、お灸を説明することが難しかった武田は実際にその場でお灸を実演。「気持ちいい」という表情とリアクションで納得してもらったと明かした。 しかし、ジェスチャーなどしなくても、日本語で "This is モグサ" と言えば空港職員に伝わったかもしれない。 実は、モグサは英語でも"moxa"(モクサ)と言うのだ。しかも語源は日本語。