いつでもラジオを聞けることを意味する「タイム・フリー」は和製英語です

日本のラジオをアメリカから聞いていたら、「この番組はタイム・フリーでもお聴きいただけます」とアナウンサーの方が話していました。「Time free?」

もちろん、「時間にとらわれず」後からでも聞ける機能というのは容易に想像できますが、「英語脳」で"time free"と聞くと、「時間がない」という意味になります。

「sugar free=砂糖なし」とか、「guilty free=罪悪感を感じない」、「smoke free=煙の出ない・禁煙の」というように名詞の後にfreeが来る場合は、「〜がない」という意味になります。

「時間がないラジオ」って変ですよね。「放送時間にとらわれない」と言いたいのはわかるのですけれど。

英語で、「いつでも視聴できる」と言いたい場合は、on demand(オン・デマンドで、要求に応じて)と言います。日本語でも「オン・デマンド」と言うと思うのですが、なぜわざわざ「タイム・フリー機能」と和製英語を新しく作ってまで言いたかったのか理解に苦しみます。

phrase of demand
  1. as soon as or whenever required.
    "an on-demand movie service on broadband"

(Source: Google.com)




「タイム・シフト(time-shift)」というのも、日本語で使っていますが、これは正しい英語です。

time-shift
/ˈtīmSHift/
verb
verb: timeshift
  1. 1.
    move from one period in time to another.
  2. 2.
    record (a television program) for later viewing.
    "time-shifted programs"
noun
noun: timeshift
  1. a movement from one period in time to another, especially in a play or movie.
    "the technical problems involved in the time shift"

(Source: Google.com)




すでに日本語でも使われている「タイム・シフト機能」や「オン・デマンド機能」で十分じゃない?と思うのですが、自局のラジオ・アプリのブランディングの一環として、普通の言い方ではない別の「タイム・フリー」という名前を付けたかったのでしょうか。

それとも、「オン・デマンド」という言い方がピンと来ないので、わざわざ日本人でも馴染みがある「タイム」と「フリー」を使って、和製英語を造語したのでしょうか・・・。でも「タイム・シフト」は日本人にもすんなり入ってくる英語だと思うのですが、それを使うのが嫌な理由が思い当たりません。

和製英語が生まれるメカニズムを研究すれば、論文が1本書けそうなテーマですね。


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